何十年と長生きしていると、気が付くことがあります。
それは、言葉は時代とともに変わっていく、ということです。
私は関西出身ですが、関西という土地は歴史が長いのと、その分保守的だということもあり、
さほど言葉が大きく変わったという印象はありません。
もちろん、祖父母の代が話す浪花言葉と、今私が話す大阪弁は別物です。
けれども、自分が生きているこの数十年の間に、言葉がドラスティックに変わった、ということはないと思うのです。
それに対して、東京周辺はこの20年くらいで言葉が大きく変わりつつあるように思います。
ひとつは、語彙が変わったこと、そして、もう一つはイントネーション(アクセント)が変わったことです。
これまで標準語にはなかった語彙や表現が、マスメディアの影響で一気に浸透しました。
たとえば、本来関西方言であったはずの、「イケてる」とか「イケてない」という表現や、
「まったりする」「横入りする」「キモい」「ヤンキー」といった言葉は、
30代以下の人たちが普通に使うようになりました。
中には、それが元々方言であることすら知らない人もいます。
これは、やはりメディア(テレビ)の影響が大きいのではないかと思います。
日本にテレビが普及して、まだ半世紀も経っていません。
テレビがなかったころは、全てにおいて情報が末端まで伝わるのに時間がかかりました。
数年、下手すると数十年かかっていたでしょう。
それが、テレビのおかげで一瞬で伝わるようになったのです。
私は、まさにテレビ世代ど真ん中なわけですが、子供の頃と今とでは、
標準語と言われるものがかなり変わったように思います。
同じことが英語にも言えます。
アメリカ英語の、発音の移り変わりについて、先日友人と話をしていたのですが、
私たちが中学時代に習ったものと、今のアメリカ人の発音が微妙に違う。
たとえば、
talk
law
bought
といった単語の母音です。
これらは、発音記号で言うと、「o」ですが、実際のところ、「a」と発音される率のほうが高い。
すなわち、
got
dog
top
といった単語と同じ音なのです。
もちろん、世代や出身地方によって差はあるでしょうが、
私が知る限り、北米ネイティブの人にこれらの音は同じかどうか聞くと、
ほぼ100%の確率で、同じだという答えが返ってきます。
この「a」の音に私が気付いたのは、「raw fish(お刺身、生魚」という単語でした。
アメリカで、お寿司の話題になったとき、「raw fish」がどう聞いても「ゥラーフィッシュ」に聞こえるのです。
学校英語では、“aw”のスペルの時は大抵「o:」と発音する、と覚えていたので、
最初はものすごく違和感がありました。
同様に、「law」なんかも、やっぱり「ラー」としか聞こえませんし、
「watch」は「ワッチ」、「talk」は「ターク」と聞こえるのです。
今から20年以上前のことですが、その時には既に、これらの母音は変わりつつあったのではないかと思います。
ちなみに、この「a」の音ですが、比較的日本人には発音しやすい母音です。
「あ、忘れ物した!」と言う時の「あ」という母音に非常に近い音です。
ただし、喉発声ですが(これが大きな違い)。
発音やアクセントは時代とともに移り変わる。
それは、文化や価値観、社会通念が変わって行くのと同じことなのかもしれませんね。
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