私は、常々日本企業の異常な体質に、不信感とともに、絶望にも似た思いを抱いてきました。
昔、アメリカに留学していたころに、中国人留学生から言われた言葉があります。
「日本人は、個人個人はみんな良い人。
だけど、集団になると人が変わったようになる。どうしてだろう」
この言葉は、以来ずっと私の頭の片隅にあって、それは何も中国人に対してだけではなく、
日本人同士の人間関係においても同じことが言えるなぁと思ってきたのです。
一人ひとりは良い人でも、集団(組織)になると激変する。
その原因はいったい何なのだろうかと。
これこそ、日本企業に顕著に見られる特徴だと思います。
理不尽な上司でも、二人きりでお茶を飲んだりした時には、案外まともで
良い人だったりすることがありませんか。
この人も根は悪い人じゃないんだなぁと思ったり。
それが、職場においては人柄が180度変わる。
日本企業はこの手のパターンが本当に多いように思います。
そんな中、私が注目しているのは、ライブレボリューションという企業です。
CEOの増永寛之さんという方が、とても斬新な思想の持ち主で、
この人のブログをもう4、5年読み続けています。
増永さんのブログはこちら⇒プレジデントブログ
ライブレボリューションの素晴らしいところは、
顧客よりもスタッフ(社員)を大事にする
ノルマ、順位付け、サービス残業はなし
完全禁煙(喫煙者は採用しない)
スタッフ同士の「さん」付けの義務化
怒らないこと
社内行事は就業時間以内に行う
という、日本以外の国では当たり前のことを、きちんと実行していることです。
クライアントよりも社員を優先するのは、極めて当たり前のことです。
日本企業は、お客様は神様です、という因習がいつまでもはびこっているために、
犯罪者に等しいクレーマーが出てきたりするのです。
外資企業の場合、おかしなクレーマーからのリクエストになど一切答えませんし、
特にショップなどは、おかしな客が来た時点ですぐに通報、
あっという間に銃を携帯したセキュリティーガードがやって来てどこかに連れ出します。
日本のデパートなどは、これができない(なぜできないのか理解不能ですが)ため、
いつまでもクレーマーに時間を取られ、おかげでまともな客に迷惑をかける始末です。
顧客より社員優先、というのはほとんどの日本企業にはないメンタリティーです。
また、サービス残業がないというのも、これまた当たり前のことですね。
社内行事も、これも仕事なわけですから、就業時間内に行うのは当然のことです。
私がかつて勤めていた欧系企業でも、イベントは平日のお昼にありましたし、
飲み会も、もちろん会社のexpenseから出ていました。
社員がびた一文出すことはなかったのです。
当然です、会社の行事なんですから。
完全禁煙というのも、日本企業においては極めて珍しいことです。
社内禁煙、ビル全体が禁煙というのはあっても、社員に禁煙を課すというのはまずないでしょう。
一見パワハラではないかと思われるかもしれませんが、
入ってから言われるのではなく、あらかじめ打ち出しているのだからフェアです。
完全禁煙になれば、タバコ休憩と称して20分も30分も帰ってこない、
仕事のしないオジサン社員などもいなくなるわけです(笑)
自分はしょっちゅうタバコ休憩で席を外すくせに、ツイッターやミクシィをしている若手に、
仕事中になんたることか!と平気で恫喝するような上司もいなくなるわけです。
恫喝というと、「怒らないこと」という企業理念も重要です。
「おい、こらっ!」などと部下に怒鳴ったりすると、アメリカでは一発でクビです。
それはパワハラになるからです。
日本は、まだまだこの手の恫喝がまかり通っています。
そうさせないために、ライブレボリューションでは、年齢性別役職に関わらず、
社員全員が互いに「さん」付けで呼び合う、ということを義務化しています。
増永さんいわく、「さん」付けにすると、自然と相手に対して丁寧に接するようになるそうで、
たとえば、「おい、○○!お前なにやってんだっ!」というようなことも、
さん付けになると、「おい、○○さん!」とは言いにくい。
だから、自分より下(年齢や役職が)の者に偉そうに怒鳴ったりすることができなくなる。
これは非常にスマートなやり方だと思います。
日本語は、敬語、丁寧語が複雑に入り組んで存在する言語なので、
組織のヒエラルキーを助長してしまう部分があると、常々思っていたんですね。
恫喝というのは、相手をひれ伏せさせる有効な手段です。
それを、日本人は中学生くらいから体験します。
学校の教師、クラブの先輩など、みな下級生には非常に高圧的な話し方や態度を取ります。
これは、日本人のメンタリティーを作る基礎になっていると私は思います。
最近でこそあまり姿を見なくなりましたが、一時メディアによく出ていた、
胡散臭いオバサン占い師などは、このメンタリティーを上手く利用していました。
最初に、汚い言葉で高圧的に相手を罵ることで、その人を精神的に支配するのです。
その後はもう言いたい放題、適当なことを言って終わる。
それでも、相手はなぜか「ありがたい言葉をいただいた」と感謝するのです。
外国人から見れば、異常としか映らないこの光景も、
日本語が作り上げる日本人のメンタリティー特有のものだと思います。
以前、知り合いの男性(私より年下)が、学生時代の後輩を連れてきたとき、
彼の後輩に対する物言いや態度の酷さに衝撃を受けたことがありました。
その男性は、普段はとても物腰の柔らかい、感じの良い人だったんですね。
ところが、後輩という、自分よりも立場が下(だと彼が考えている)の人間の前に出ると、
豹変してしまったのです。
まるでヤクザか、と言いたくなるような乱暴な態度。
「おい、お前」を連発し、「バカじゃねえのか」と言っては大口を開けて笑う。
なんて下品な人なんだろうと、私の中での彼の評価は一変してしまいました。
かように、日本語というのは、様々なフェイズを持っているんですね。
ほっておけば、組織内でいつの間にかヒエラルキーができ、日本語という言葉がそれを助長する。
そうさせないために、あくまでもフェアで健全な組織を保つために、
増永さんは「さん」付けを義務付けたのだと思います。
このアイデアには脱帽です。
彼の斬新な企業理念は、従来の日本企業のあり方と真っ向から勝負するものです。
今後、日本にもこういった企業やアントレプレナールが増えてくれることを願うばかりです。
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