イングリッシュブートキャンプ:由美です。

英語学習者の永遠の悩みの一つに、英語が聞けない、というのがあると思います。
実際、リスニングに苦労するのは、日本人に顕著な特徴と言えると思います。
なぜこんなにも、リスニングやスピーキングが苦手なのでしょう?
根本的な勉強法に、誤りがあるのでしょうか。

私たち日本人が無意識に犯している、間違った勉強法についてお話したいと思います。

★リスニングで苦労するのは日本人だけ?

長年英会話を習っているのに、リスニングが苦手だというのは、日本人の特徴です。
日本人のほかに、韓国人なども同様に苦労していますが、これは両者が似た言語であることと、
深い関係があるでしょう。
実際、成人してから韓国語(朝鮮語)をやり始めた人が、比較的短期間で、英語よりずっと流暢なレベルに、上達したという例は、珍しくありません。
何十年と英語学習をしてきているのに、始めてたかだか半年の韓国語の方が、ずっと楽に話せるし聞ける、という知人や生徒さんを、ここ数年、何人も見てきました。

まあ、韓国語はさておき、日本人学習者が英語のリスニングやスピーキングに、非常に苦労するというお話です。
私は、帰国子女ではありません。
ありませんが、比較的英語への目覚めは早かった。
それは、カテゴリー一覧の、「私の履歴書」を見ていただくと、わかるかと思います。
小学生のころに、英語に興味を持ち、近所の英会話スクールに、1年ほど通っていました。
とはいえ、お遊び程度に、歌を歌ったりゲームをしたりしただけでした。
それでも一応、生の英語(先生はハワイ育ちの帰国子女でした)に、触れたことは大きかったと思います。

それを除けば、私もごく普通に日本に生まれ育ち、小学校から大学まで国公立でした。
いわゆる私立の、ネイティブ教師がいるような環境には、一度も身を置いたことがありません。
典型的な受験英語の、学校教育を受けてきた、標準的な日本人です。
その中で、いつしか英語を教えたり、英語で仕事をするようになりました。
英語を教え始めたのは、二十代前半でしたから、もうかれこれ二十年以上になります。
個人レッスン、企業レッスン、高校や専門学校などなど、多くの人を教えてきました。
また、外国人(英語ネイティブやアジア人)に、日本語を教えていたこともあります。
その時、英語ネイティブと日本人の間に、大きな違いがあることに、気が付いたのです。

★英語をマスターしづらくしている日本語の特徴

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まず、なぜ日本人だけがこんなにも、リスニングに苦労するのか、ということを考えてみましょう。
これが例えば中国人や、スペイン人だと、ここまで英語の聞き取りに、苦労することはないのです。
また、英語ネイティブが日本語を学ぶ上でも、音が聞けないということは、まずありません。
それどころか彼らは、私がほんのちょっと、イントネーションを変えて言っただけでも、
また語尾の音が脱落しただけでも、すぐに気付きます。

たとえば、

「先生は今、“ありがとうございます”を、A RI GA TO U GO ZA I MA S と言ったけれど、
テキストには、A RI GA TO U GO ZA I MA SU と書かれている。どちらが正しいのか?」

といった質問が、すぐに飛んできます。
彼らはみな、日本語を生まれて初めて習う人たちで、いわゆるベリービギナーです。
それでも、こういった音の違いには、敏感に反応するのです。
なぜなら、英語ネイティブが聞ける範囲の音は、私たち日本語ネイティブより、遥かに幅広いからです。

私たち日本人は、英語を学ぶ上で、ハンデがあると言えます。

それは、日本語は音の種類が非常に少ない、ということです。

音の種類、幅が狭いということは、すなわち種類の多い言語を聞くためには、多大な労力を要するということ。
母音一つとってみても、日本語には「あいうえお」の5つしか、ないわけです。
英語は基本母音だけで、13種類。
それにR母音などを含めると、20種類を越えます。
この差はもう、いかんともしがたいのです。

もう一つ。

それは、リズムです。

英語のリズムは、いわゆる“裏打ち”と呼ばれる、不規則なリズムです。
ロックの8ビートや、ジャズの裏拍がそれで、これは日本人が苦手とするリズムです。
よく、演歌歌手がポップスやジャズを歌うと、音程もあってるし上手いんだけど、何かが違う・・・と、違和感を抱くことがあるでしょう?
あれは、リズムが違っているからです。
リズムがどうしても、演歌のリズムになってしまう。
日本語がそういうリズムだからであって、日本語の感覚で歌うと、そうなってしまうんですね。

英語特有のリズムは、いわゆる“アクセント(強弱)”というかたちで、私たちも学校で習います。
第一アクセント、第二アクセント、といった例の、アクセント問題がそうですね。
ただ、学校で習うのはいわゆる、強弱を意識するというもので、リズムではありません。
アクセントを意識するというよりは、むしろリズムを意識しないと、英語を聞くことはできません。
聞けても、自分が話した時に、ネイティブにやたらと聞き返される、というのもこのパターンです。

★第二言語習得と母語習得は違う

よく、赤ん坊が言葉を覚えるプロセスを、引き合いに出して、英語習得の話をする人がいます。
赤ん坊が言葉を覚えるのは、母語を習得するプロセスです。
第二言語(外国語)を使う時、母語を司る脳の部分とは、別の部分を使っていることが、脳科学の研究でも、明らかになっています。
なので、私たち成人学習者は、赤ん坊が言葉を覚えるようには、外国語を習得することはできません。
英語を聞き流していれば、いつの間にか聞けるようになり、しゃべれるようになる、というのは、可能性がゼロとは言いませんが、効果的な学習法ではありません。

東京大学教授で脳科学者の、池谷裕二先生が仰っているように、外国語習得には、年齢的な壁があります。
俗にいう「9歳の壁」と言われるものです。
先生の言葉を借りて言うと、可塑性と年齢の関係ですね。
先生いわく、言葉の習得は自転車の練習とは、同じようにはいかない。
自転車には、40歳になってからでも、50歳になってからでも、乗れるようになるけれど、言葉の習得は、加齢とともに一気に能力が落ちる。
運動能力と言語能力には、神経系統に違いがあるからです。

もちろん、個人差はあります。

私はこれまで、二十数年に渡り、多くの日本人に英語を教えてきました。
小学校高学年で、すでにネイティブの音を聞いて、同じように言えない子供もいますし、高校一年生で、半年アメリカにホームステイしただけで、ネイティブに近い英語力を身に着ける子もいます。
だから一概には言えない、というのは確かにあると思います。
けれども、大人が外国語を学ぶのに、年齢的な足かせがあることは、否定できない事実なのです。

では、どうしたらいいのでしょう?

日本人学習者が知っておくべきこと:その1 まずは音を正確に認識すること

多くの日本人が、英語の発音の基礎を、まったくと言っていいほど、やってきていません。
当たり前のことですが、外国語を習得するのに、発音から入るのは基本中の基本です。
英語以外の外国語をやるとなると、誰しもまず「どうやって発音するのか」と、音から入ります。
フランス語でも中国語でも、必ず発音を最初にやりますね?
けれども英語に関しては、学校の授業で、数学や理科と同じように扱われているため、そこをすっ飛ばして、単語のスペルを覚えたり、文法にばかり比重を置いた勉強をしてきています。
語学の授業なのに、相手とコミュニケートするという意識が、かなり低いと言わざるを得ません。

もちろん単語を覚えることは、非常に重要です。
単語を知らないと、いくら音が聞けても、意味はわかりませんから。
文法も大事です。
基本文法を知らないと、意味を捉えることはできません。
ただ、音と同時に覚えないと、意味がないんですね。
ところが、私たちは中高で英単語のスペルを覚えるのに、ウェドネスデイ(Wednesday)とか、レッソン(lesson)とか、ローマ字読みで覚えたりしています。
そのほうが忘れないし、テストで点数を取りやすいからですね。
本来真っ先にやるべき発音を、学校で習わないうえ、それどころか間違った音を入れてしまっている。
これでは、英語を聞けるようになるはずがありません。

では、発音をやれば、英語(外国語)は聞けるようになるのか。
そうです、理論上は。
正しく発音できれば、そのフレーズは聞けるようになります。
ほとんどの場合。
ほとんどの場合、と言ったのは、これもやはり、個人差があるからなんですね。

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日本人学習者が知っておくべきこと:その2 語学はスポーツと同じ

東京大学教授で脳科学者である、池谷裕二先生も指摘していますが、第二言語習得能力は、
遺伝的要素が強い、ということです。
英語を習得した人は遺伝的に優位な人が多く、またそういった人たちによって、書かれた教材が多い。
そのことが、日本人学習者が、英語のリスニングに苦労し続ける、原因であると彼は指摘しています。

この指摘は、なかなか鋭いと思います。
言いにくいことを、先生はズバリ言い当てているな、と。
英語(特にスピーキングや会話)を、指導している人の多くが、先天的に耳の良い人や、語学センスのある人であることは、これはもう間違いないと、思うんですね。
スポーツや楽器の指導者の多くが、先天的に運動能力や、音感に優れているのと同じです。

同じようにスポーツをやっても、すぐにコツを掴んで上達する人と、なかなか上手くならない人がいますね?
後者の典型が私ですが(^ ^;)
一度も経験のないスポーツでも、見よう見まねですぐにマスターできる人。
そういう人と私のような運動音痴の差はなんでしょう?
やはり、持って生まれた資質が、大きく影響しているのです。

語学も同じです。
持って生まれて耳の良い人、音感、リズム感の良い人は、英語をマスターするのに有利です。
たとえば、TOEICのような試験対策なら、ある程度誰でも高得点が取れるようになりますが、実際にネイティブ相手に流暢に会話するとなると、まったく別のお話なんですね。
スポーツに対する知識と、実際に上手にプレイできることが、別であるのと同じです。

ここで先ほど述べた、「発音できる音は聞ける」という部分に、話を戻したいと思います。
自分が言える音は、ほとんどの場合、聞き取ることができます。
逆に言うと、自分が言えないフレーズは、聞き取れないのです。
一般的に、第二言語を習得する際に、特に音の種類の少ない日本語話者が、音の種類の多い英語を学ぶ際に、正しく発音できることは、そのまま英語が聞けるようになることと、イコールであることが多い。
なので、音読練習は効果がありますし、発音矯正はリスニングアップへの、近道だと言えます。

日本人学習者が知っておくべきこと:その3 カタカナ(ローマ字)が日本人の足を大きく引っ張っている

リスニングやスピーキングに苦労している人に共通するのが、カタカナの支配が強いということです。
私はこれを、“カタカナ脳”と呼んでいます。
カタカナ脳については、これまでもブログや、YOU TUBEの動画レッスンで、何度も取り上げてきました。
日本人には、少なからずこの、カタカナ脳の強い人がいます。
そういった人は、少しアプローチを変えたほうが、効果が出やすいんですね。
それは、発音矯正のほかに、カタカナからの脱却に力を注ぐ、ということです。

たとえば、career という単語。
これを、カタカナ脳の強い人は、ついうっかり「キャリア」と、読んでしまいます。
頭の中で、「キャリア」だと認識していると、脳が「キャリアと言え」と、信号を送り続けます。
そうなると、どれほど発音矯正しても、careerという本来の英語の音を、認識することができません。
リピートした瞬間は言えても、いざ一人で言おうとするとまた、「キャリア」に戻ってしまいます。

career という単語の実際の音は、カタカナで言うなら、「コリア」に近い。
そう、韓国(Korea)と、発音はとても似ているんです。
なので、「キャリアではなく、コリア」と、脳にインプットすると、それだけでスッと聞ける、また、言えるようになる、ということがあります。
これは実際に、私が発音矯正をしていて、何度も見てきたことです。
この、カタカナを上手く利用するやり方は、カタカナ脳の強い人には、非常に効果があります。

英語(アルファベット)を、全てローマ字読みしてしまう人は、発音矯正をしても、なかなか成果が出ないことがあります。
正しく発音できるようになっても、それでいいのかどうか、自分では判断がつかない・・・というパターンに、陥ってしまうからです。
そういう人には、「カタカナはカタカナで制す」という、一見矛盾したようなやり方ではありますが、これが効果的だったりします。

たとえば、liver(肝臓)はリバーではなく、レバーと言いますね?
machine は、ミシン。
これらは、耳から聞いてカタカナ語になったため、本来の音に近い“かな”が、あてられたのです。
本来の英語の音に近い、日本語の音をヒントにすることで、リスニングが伸びることがあります。
そして一旦コツをつかむと、発音も素晴らしく改善された、という例も少なくありません。
これは、私がこれまで長年発音矯正をしてきて、実際に体験したことです。
ぜひ試してみてください。

★まとめ

日本人が英語を聞き取れない理由は、正しく音を認識していないことにあります。
中学や高校で、ほとんど発音を習いません。
また、英会話スクールでも、個々の発音をチェックして矯正したりすることは、あまりありません。

言葉は音が基本です。
それをやっていない以上、聞けないのは当たり前です。
そして聞けない以上、話せないのも当たり前なのです。

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発音矯正歴25年以上、歌手、俳優など多くの著名人を指導してきたノウハウを生かし、Yumiが書き下ろしたダウンロード教材です。
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なので、日本人が苦手な音や苦労する点を、熟知しています。

英語は難しい言語ではありません。

もしも英語がそれほどまでに難しいのであれば、世界共通語にはなっていないはずです。
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ただ、わたしたち日本人の言語感覚と違う部分があるため、そこでつまずいている人が多いというだけなのです。

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著者プロフィール:明場由美子(Yumi)
大阪大学文学部卒、オクラホマシティー大学社会学専攻
フリーランス通訳、大手英会話講師、企業トレーナー、外資系出版社セールスマーケティングを経て2010年に独立、English Boot Campを立ち上げる。

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監修本:『ネイティブ発音が3D映像でわかる!英語の発音トレーニングBOOK DVD1枚CD3枚付き』(西東社)-Amazonランキング発音部門で第1位!

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