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英語を習得するための三本柱

楽器の習得に例えると分かる、英語の習得

外国語学習は、「段階を踏んで習得する」必要があります。これはたとえば、楽器の習得を例えにするとわかりやすいです。ピアノが弾けるようになるには、楽譜が読めなくてはいけません。どの音符がどの鍵盤を指すのか、また「四分音符」と「八分音符」の違いを知らないと、メロディーを奏でることはできません。この、楽譜を読む作業が、語学でいうところの「語彙や文法」にあたります。

まずは簡単な楽譜から初めて、さっそく鍵盤に向かって実際に弾いてみる。その際、どうやって指を動かすのか知る必要がありますね。適当に指を動かしていては演奏することはできません。
この、運指のルール理解し鍵盤を叩いてみる作業が、「発声や発音の仕方を習い、声に出して口頭練習する」ということです。

楽譜だけ見ていても楽しくないですが、実際に曲が弾けると嬉しいものです。それがたとえ、“チューリップ”のような短い単純なメロディーであっても、自分の指でピアノが弾けた、メロディーを奏でることができたという充実感が、「じゃあ次はもっと難しい曲が弾けるようになりたい」という、モチベーションへと繋がります。

語学習得で必要な3つの要素

本来、語学習得の一連のパターンは、

  • 楽譜を読む=語彙・文法力 → 英語の基礎体力
  • 楽器を弾く=発音・口頭練習 → 英語スキル
  • さらに次の曲に挑戦する=もっと話したいというモチベーション → 英語メンタル
    • といった3つの要素を同時にカバーすべきものです。

      しかし残念ながら日本の学校教育では、楽譜を読む(語彙・文法力)という一番退屈でしんどい部分ばかりを、延々と繰り返しているのが実情です。3つの要素を、まずは易しいところから初めて、段階的に少しずつ高度なものへとステップアップしていくのが、理想的な学習方法です。しかし、私たち日本人は、楽譜はベートーベンのコンチェルトが読めるレベルなのに、実際には「猫踏んじゃった」も弾けない、という状態に陥ってしまっています。このギャップを埋めない限り、英語を話せるようにはなりません。

      英語の基礎体力

      英語がそれなりに得意で高校卒業の時点で英検2級を取得した、というような人は英語の基礎体力のある人です。例えばニューズウィークの記事などを精読し、知らない語彙などは辞書で調べて覚える。こういった作業を苦も無くできる人です。いやいや、自分は到底そのレベルではない、という人。TOEICのスコアが500点に満たない人は、まだまだ英語の基礎体力が足りません。体力作りから入る必要があります。

      体力はあるのに、なかなか話せるようにならないという人は、「英語スキル」と「英語メンタル」に改善すべき点があります。

      英語スキル

      「英語スキル」は、ピアノで言うと実際に弾いてみることです。本気でピアノが弾けるようになりたければ、毎日何時間も練習しますね?英語も同じです。毎日声に出して練習する、ネイティブと会話をする、といった訓練をしていますか?また、知らず知らずのうちに間違った運指をしていて、うまく指が動かず曲が弾けない、という状態に陥っていませんか?学習時間の大半を、いまだに「英語の基礎体力強化」にばかり費やしているということはありませんか?新たな語彙を覚えることも大事ですが、それ以上に実際に曲を弾いてみるということのほうが、ずっと重要です。多くの学習者が陥りやすいのが、インプットに時間を割きすぎるということです。英語を聴く、読む、という学習は学校英語で散々やってきているため、私たち日本人には馴染みのある学習法です。そのため、そちらに偏りやすいというのがあります。繰り返しますが、言葉は実際に音を発することで伝えるものです。正しく音を出すというアウトプット訓練なくして、言葉を習得することはできません。

      英語メンタル

      さて、ここで一つ大きく関わってくるのが、「英語メンタル(モチベーション)」です。楽器の場合、たとえば間違って弾いても、それほど上手に弾けなくても、モチベーションがそがれることはあまりありません。むしろ、次はもっと上手く弾けるようにさらに練習しようと思うほうが普通です。ところが、こと英語に関しては、間違うことや上手く話せないことに不安や恐怖を抱く人が多いのです。スポーツを例にとってみましょう。初めてテニスをするとします。一人で黙々と練習するだけでは、テニスは上達しません。誰かと打ち合いをしたり実際に練習試合をしてみたり、そうして経験を積むことで上達していくわけです。では、ここで初心者のあなたがそれなりに経験のある人と組んだとします。当然のことながら、あなたのほうが下手だし失敗もしますね。その時、「ああ、また失敗してしまった、もう二度と人前でラケットなんて持ちたくない」と、思うでしょうか。おそらく、大半の人がそうは思わないでしょう。そんなこと一々気にしていたら、スポーツなんてできません。転んだりつまずいたり、人前で無様な恰好を晒すことなんてスポーツでは日常茶飯事です。しかも、スポーツには怪我もつき物です。打ち身や捻挫、スキーやスノーボードだったら骨折したりもします。それでも、二度とやらないと心が折れる人はごく少数です。

      英語も同じです。最初から上手く話せるはずなどないのです。失敗したり恥をかいたりしていくうちに、だんだん上達していくのです。まして、スポーツと違って英語は怪我したり痛い思いをしたりすることなどないのですから、もっと気持ちを楽にして臨めるはずです。

      英語に関してのみ、こういったメンタルの部分が弱いというのは、日本人の特徴とも言えます。それは、英語が学校教育で特殊な位置づけをされていることに関係しています。これまでのお話から、語学は楽器やスポーツと同じカテゴリにあることがわかると思います。にもかかわらず、日本の学校教育では英語を受験教科として固定化してしまったせいで、私たち日本人は「英語=偏差値」として捉えてしまうきらいがあるのです。「英語の基礎体力」や「英語スキル」に関してはそれなりに自信があるけど、外国人(ネイティブ)を前にすると積極的に話そうとは思えず、どこか逃げ腰になってしまうという人は、「英語メンタル」を強化する必要があります。「英語の基礎体力」、「英語スキル」、「英語メンタル」のどれか一つ欠けても、語学習得は不可能だからです。

      英語上級者へのロードマップ

      フェイズ1 初級者-とにかく基礎体力がない

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      TOEICスコアが500点に満たない人、中学英語に自信のない人は、とにかく語彙と構文を覚える必要があります。単語を知らないと言葉は理解できません。この段階にいる人は、2パターンに分かれます。がむしゃらに覚えることで目に見えて上達が実感できる人と、いつまでたっても変化が見えない人。毎日数時間机に向かいひたすら単語を覚えて構文を覚えるという作業が苦にならない、それを数か月続けることができる人は、やったらやった分だけ前進します。語学は、初級から初級上(または中級下)くらいまでは、目に見えて変化がわかるのです。ここでつまずく人は、基本的に暗記作業が苦手なタイプだと言えます。また、理屈っぽい人もつまずきやすいです。外国語は日本語とはまったく違う言語です。日本語の感覚や常識とはかけ離れていることもあります。そこで「なんで、どうして?」と頭を抱えてしまうと、先に進めません。

      以前あるドイツ人に日本語を教えたことがありました。その時、「日本語は自分の母親のことは“私の母”と言い、他人の母親のことは“○○さんのお母さん”と言い方を変えます」と説明したところ、「そんなのはおかしい。母親は母親じゃないか」と彼は食って掛かってきました。ドイツ語にはそんな概念はないと。日本語はドイツ語とは違うのだから、こういうものだと諦めて覚えてくださいと言いましたが、その人はなかなか前に進めず苦労していました。なぜだろう、どうしてだろうと理由を追及することは、語学学習には時として足かせになることがあります。これはこういうものだと丸飲みしていくことが重要です。その時にはピンと来なくても、知識が蓄積されていくといずれ感覚としてわかるようになります。それまで我慢して覚える作業を続ける根気が必要です。この段階でつまずく人は、この根気が続かない人が多いです。とにかくひたすら覚える。この作業は本人にしかできません。どれほど優秀なトレーナーが付いてダイエットメニューを考えても、こっそりアイスクリームを食べてしまっては痩せないのと同じです。本人がやるしかないものは、誰も手助けできません。黙々と与えられたメニューをこなす。それがこの段階をクリアするための必須条件です。

      フェイズ2 中級者-いつまでたっても景色が変わらない、メリーゴーランド状態

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      語彙力、構文力もある程度ついてきて、TOEICで700点をクリアしたあたりから、目に見えて上達している感覚が薄れてきます。ほぼゼロに近いところからスタートした人は、最初は変化が実感できるのにこのあたりでスタックします。ところが、そもそもスタートがこのレベルであったりすると、やってもやっても変化が見られないという“メリーゴーランド状態”に陥ります。確かに変化はあるし動いているけれど、何度も何度も同じ景色が目の前にやってくる、ちっとも上達してないんじゃないかという不安な状態。こうなるとモチベーションが下がってしまいます。

      中上級レベルの学習者は、メリーゴーランドに乗っているのではなく登山をしているのだと思ってください。大きな山を登っているとき、山の全体像は見えませんね?見えるのはとりあえず目の前の道だけです。ひたすら歩いていると、急な傾斜があっていかにも上っていると感じることもあれば、なぜか下り坂があったりもします。鬱蒼として木々に囲まれて、自分がいったい何合目あたりにいるのかわからなかったりします。でも、途中でふと視界が開けて景色全体が見渡せるところに出ることがあります。その時、数時間前に見た景色よりも高いところにいるのが実感できたりするものです。語学学習は登山に似ています。やればやるだけ上達が実感できるというのではなく、上ったり下ったりしながら踏ん張って歩いていると、ある時ふいに「ああ、ついにここまで来た!」と思える瞬間がある。そしてまた長い長い登山が続く。その繰り返しです。景色が見えるところまで我慢して登りつづけることが重要です。

      フェイズ3 上級者-超一流を目指すかどうかはあなた次第

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      長い長い登山を続けていると、ある程度の高みまで上ることができます。そこで、「ああいい景色だ、もうここでいいや」と思うか、「まだまだ上まで登ってやるぞ」と思うかは、あなた次第です。次はもっと高い山に挑戦しようと思う人もいれば、もう疲れたと思う人もいるでしょう。語学は、地道にやれば必ず習得することができます。やり方を間違わず毎日きちんとノルマを決めて頑張れば、誰でもマスターすることができるのです。ただ、多くの人が途中で登山を諦めてしまうんですね。そうすると良い景色が見える地点に行く前に下山してしまうことになります。上級者と言われる人はみな、この長くて苦しい、先の見えない登山を乗り越えてきた人たちです。

      ここから先はその人しだいです。語学にも、もって生まれたセンスや資質というものがあります。野球少年のすべてがイチローになれるわけではないのと同じで、みんながネイティブみたいに流暢になれるわけではありません。けれども、努力することで限りなく近づくことはできます。上級を目指すには、登山をし続ける気力と途中でめげない強い精神力が必要なのです。「もうここでいいや」と思ったら、それでおしまいです。「まだまだ知らないフレーズはいっぱいある」「ネイティブと同じように言えるようになりたい」と、どこまでも貪欲になり続けることができる人だけが、この壁を超えることができるのです。

      Yumiの脱カタカナ英語マニュアル

      人は知らない単語は聞き取れません。また、知っていても正しく発音できない単語も聞き取ることができません。正しい発音を身に付けることは、通じる英語を話せるようになるだけでなく、英語を聞き取る事にもつながります。「Yumiの脱カタカナ英語マニュアル」は日本人であるYumiが、日本人の為に作った英語発音マニュアルです。

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