中級レベル以下の学習者が、実際にネイティブと会話をしたときに陥りがちなパターンとして、
英語力そのものではない部分での失敗や誤解というものがあります。
これは、文化的な違い、cultural barrierと言っていいと思います。
日本人は、自己主張が弱い、または控え目だとよく言われます。
これはある意味日本人の美徳ともされる部分なのですが、
残念ながら、欧米の文化においてはマイナスに作用することのほうが多いのです。
「控え目」を英語に訳すと“shy”ですが、shyでいることで得することはほとんどありません。
むしろ損することのほうが多い。
また、これは女性の場合はある程度までは許容されますが、
男性がshyであることは、父系文化である欧米においては許されない場合がほとんどです。
男性がshyでもゆるされるのは、子供だけです。
たとえば、相手の言うことが早すぎてわからなかったとします。
そこで、「もう少しゆっくり言ってもらえますか?」とひとこと言うことをためらうあまり、
まあいいや、と流してまともに返答しなかったり、黙りこんだりすることは、
ネイティブスピーカーからすると非常に不可解であり、下手をすると不愉快な気持ちにさせます。
日本人の感覚としては、何度も同じことを言わせるのは申し訳ない、
どうせわからないし、話の前後からしてさして重要な内容ではなさそうだ、
ということで流しているつもりでも、それは相手に対する気遣いなどではなく
単なる無礼になってしまうのです。
また、日本では何かと我慢することが美徳とされます。
あまり自己主張をせず、じっと耐える。
周りの状況を優先させる。
日本語で言うところの、「空気を読む」という行為が日本人には骨の髄まで染み込んでしまっています。
が、これが一番ダメなパターンに陥るんですね。
体調が悪い、けれどもみんなで食事に行こうということになった。
ここで「ちょっと体調が悪いから、自分は欠席します、みんな楽しんできてね」とひとこと言うのが、
欧米におけるまともな大人の流儀です。
しんどいのを我慢して出かけたはいいけれど、どうも気分が悪いために無口になりがち。
けれども周りはそのことに一切触れてこない、「大丈夫?」のひとこともない。
せっかくしんどいのを押してまで付き合いでやってきたのに、だれも気が付いてくれない、
そう思うとどんどん気持ちがふさぎこんでいくし、不機嫌になる。
ここには、お互いが気持を察しあう、空気を読み合うという古き良き(?)日本文化があります。
がしかし、これは欧米では通用しないことを肝に銘じておいたほうがいいでしょう。
以前、英語にできない日本語という記事を書きましたが、
「よく気が付く」「気が付かない」「空気を読む」といった英語は存在しません。
つまり、そういう概念がないということです。
一人不機嫌で憮然としていると、周りはそれだけで理解不能です。
どうしたの、と聞いても「別に」とか「大丈夫」と日本人はすぐに応えますが、
大丈夫でないのは一目瞭然なわけで、周りはさらに理解不能、なんだこの人はということになります。
自分が気を使っているんだから、あなたも気を使いなさいよ。
というのが空気を読む文化の根底に流れる価値観です。
欧米では、自分の主張はしっかりする、そしてそのことに対して責任を持つ、
という個人主義のルールがあります。
女性なら多少のわがままも許してもらえますが、
これを男性、しかもイイトシをした中年男性がやるとたちまち“loser”の烙印を押されます。
私は今まで海外社会における日本人を多く見てきましたが、
残念なことに、このパターンで現地で顰蹙を買っている日本人男性が、本当に多いのです。
黙っていても相手が察してくれるだろう、という考えは捨てましょう。
そして、たとえ最低限の英語力しかなかったとしても、
I’m sorry I didn’t catch. Could you say that again?
(ごめんなさい、なんて言ったのかわからなかったのでもう一度言ってもらえますか?)
Could you speak more slowly?
(もう少しゆっくり話してもらえますか?)
I don’t understand. My listening is not good.
(リスニングがよくないのでちょっと聞き取れません)
I’m not feeling well. I should leave now.
(ちょっと気分が悪いので退席します)
I’m sick. I need to go home.
(気分が悪いので帰ります)
というように、基本的な表現だけはスラスラ口をついて言えるように練習しておき、
いざという時には必ず相手に伝えるようにしましょう。
以上、国際マナーについてのお話でした。
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海外の常識-「空気を読む」は通用しない
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Yumiさんはドイツ人の動画どう思いますか?
日本は外国語を軽視してますね。
国際化社会でこの先、生き残れませんよ。
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>のびたろうさん
外国語を軽視しているのではなく、コンプレックスなんだと思います。
日本人はコンプレックスの強い民族だなぁと思うことがよくあるので・・・
おっしゃるとおり、このままでは日本は生き残ってはいけないでしょうね。
他のアジアの国に、ごぼう抜きされちゃいますよ。
そういう危機感を、もっと持つべきだと私は思います。
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>「ちょっと体調が悪いから、自分は欠席します、みんな楽しんできてね」
地方なのが幸いしているのか、人に恵まれているからか、私も、私の周囲の人達も、普通にコレやってます。
体調悪いの我慢して付き合っても楽しくないし体にも悪いし、限界まで我慢した挙げ句、かえって周囲に心配をかけてしまう事だってある訳で。
何をするにも健康あっての物種なんですから、日本人は、もっと自分を大事にすべきだと思います。そうする事で、お互いを尊重する考え方も根付くのではないでしょうか。
ところで、記事と関係ない話ですみませんが、Yumiさんは日本語を教えていらしたんですよね。
例えば「ありがとう」のスペルを「a-ri-ga-to-u」とよく書きますが、日本語の「ありがとう」の発音は、どちらかというと「a-li-ga-to-u」に近いと思いませんか?
欧米の方で明らかに「アル(リ)ィガトー」のような感じになってる方がいて、その度に「日本語のら行は、本当にrでいいのか?」と疑問に思っていたのですが…Yumiさんは、どうお感じでしょうか。良ければ教えて下さい。
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>Yumi@EnglishBootCampさん
日本は思考停止なんでしょう。
いつまでも昭和の価値観で物事を考えますしね。
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ほんと、日本のオジサンリーマンにはほとほとまいるよね。
若い人はまだマシなんだけどさ、ほれ、年功序列というか上には逆らえないというか、年配者(上司)がいる前では大人しくしてるじゃない?
いつも一番嫌なのが、日本からのビジネスマンの団体さんのコーディネートをする時なのよ。こっちは尻拭いばっかりしてるのに、オジサン達はひんしゅく買ってることにいっこうに気付かないからね。
でもまだ北米はマシなの。アメリカ人はなんだかんだ言っても寛容だから(笑)
これがフランスだともう救いようがなくってね。ほら、フランス人って男には容赦ないから。あちこちにボヤが起こって、それをあたしが消して回る感じよ。なんていうか、皿回しの芸人みたい。こっちを回してるうちにあっちの皿が落っこちそう、みたいな(笑)
あと、一番ムカつくのが、そうやって欧米では借りてきた猫みたいにヘタレなくせに、アジアに行くといきなり手のひら反して横柄になるオヤジども。自己主張するのと、横柄に命令するのとは違うっちゅうねん(怒)
・・・って、ごめん、なんかあたしの愚痴になっちゃったね(-"-;A
だけど、日本人でよかったなと思うのは、ヨーロッパで仕事する時だね。
アメリカはそうでもないけど、ヨーロッパにおける日本人の評価って高いのよ(不思議なんだけど)。あたしはよく中国系に間違われるんだけど、最初中国人と思ってたのが日本人とわかったとたん、すごく愛想がよくなって親切にしてくれる人が多いの。
これは、彼らの勘違いから来ているところも大いにあるとは思うけど、中国人ってヨーロッパではあまり好かれてないわね。
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>ギルさん
地方とか都心とかはあまり関係がないように思います。
人と環境に恵まれているのではないでしょうか。
そっちのほうが、日本では圧倒的に少数派ですよね。
空気読めよ!で理不尽なことを言ってくる上司や年配者が多いのが、日系企業ですから。
ありがとう、ですが、私もこれはLに近いと思いますね。
日本語のら行は舌が上あごに付きますから。
この辺は、ネイティブに聞いても結構色んな答えが返ってくるんですが、
私は、確実にRではないとしか言いようがありませんねぇ・・・
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>のびたろうさん
昭和の価値観というより、江戸時代の価値観かもしれないですね(苦笑)
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>よ!さん
相変わらず大変そうだね(笑)
あなたの怒りとフラストレーションがびんびん伝わってきたわよ。
そうなのよね、尻拭いさせられるほうはたまったもんじゃない。
私もこれ、何度も経験あるのでわかります。
あと、アジアにおける日本人のオジサンの態度も、目に余るよね。
西洋人にはへこへこするのに、同じアジア人には高圧的っていう、最悪のパターン。
ただ、今でも日本人って穏やかでdiscipllineされてるってイメージが欧米人にはあって、
それはきっとサムライとか、禅とか柔道とかいった哲学的な価値観が、
欧米人に強く訴えかけるからじゃないかと思う。
そのイメージのおかげで、他のアジア人と比べると私たちは得してるのも事実。
たとえ、現実は目の前に妊婦がいても平気で知らんぷりして席を譲らない若者だらけでも、
サムライ精神の国なのよね(苦笑)
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空気を読む、って概念自体がアジアでは日本くらいなもんじゃないかなぁ。
それが表面的には礼儀正しく控え目、disciplinedでmodestに見えるんだよ、だから海外受けがいい。
でも、それって日本人と深く関わったことのない人だけなんだよね。
大半の人は観光客とか知り合いの知り合いくらいとしか接しないし、日本人って他のアジア圏の人と違って英語がずば抜けてできないから、まともな会話にならない(笑)
しょうがないからニコニコ笑ってその場にいるだけだから、無害なんだよ。
だけど、よ!さんが書いてるように、実際にビジネスとかで本当の意味でコミットするようになると話は別なんだよね。
それで、よ!さんみたいな人が尻拭いに回されて苦労する、大抵の場合が女性か若い男性(俺も含めて)。
あと、思うんだけど、中国人とかインド人って自己主張が強すぎたり自分たちの価値観を譲らないところがあるでしょ?フランス人なんかもそうだけど。
だから、結構嫌がられるけど、その分絶対に舐められない。
日本人は舐められまくりで、外交でも散々なのは、すごい損じゃないかと。
だったら、中国みたいに多少嫌われても舐められずにガンガンいけるほうがいいんじゃないかと思うんだよね。
あと、アメリカ人が嫌われる(特にヨーロッパに)のは、嫉妬って部分も大きいと思う。
だって、自己主張の強さというか自分勝手さで言うと、フランス人とかイタリア人のほうがよっぽど強烈やん(笑)
あの人ら、絶対に自分のやり方を曲げへんし。仕事、やりづらいやりづらい(;^_^A
彼らにしてみれば、アメリカなんてあんな新しい何の文化もない国が超大国になって世界を思いのまま動かしやがって、的な思いがあるんじゃないかと。
特にイギリス人なんかはそれが強いよね。
本来は自分たちの属国だったのに、今や色んな面で抜かれちゃったっていう苦々しい思いがどこかにある。
ワールドカップで、アメリカがイイ線まで残った時のあのヨーロッパ人の動揺ぶりはすごかった。唯一自分たちがリードしている分野にまでアメリカンに征服されるのか、みたいなw
日本もそのうち、中国や韓国に完全に抜かれたらそんな風になるのかもね。ってか、すでになりつつあって俺は怖いけどね、日本人の異常なまでのキムヨナバッシングとか見てると・・・
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>Yumi@EnglishBootCampさん
日本は封建的な母性社会なんで横並び意識が強いですね。
陰湿な人間関係はうんざりです。('A`)
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>翔くん
そうなのよね、他のアジア(中国とか韓国とかインドとかアラブとか)はみんなアグレッシブだから、
日本人ってそういうごり押しみたいなところがなくて控えめ、という
良いイメージが欧米人には浸透してるのよ。
だから、得することは多いかな。
それと、翔君が指摘するように英語が壊滅的にできない、ってのもあると思う。
言葉ができないから自己主張もしない。
これが、良い方向に出るときはいいんだけど、下手すると最悪の事態になるのね。
嫌われても良いから、国益のためにもうちょっと頑張れよ、
とは思うね、私も。外交に対しては。
ただ、大衆レベルではやっぱり嫌われたくないかな(苦笑)
嫉妬はあると思う。僻みというか、負け惜しみね。
これ、いつもたとえに出すんだけど、京都の人が東京に対して抱く複雑な感情と、
ヨーロッパ人のアメリカに対する感情は似てるね。
京都だけでなく関西人には総じてあるよね、この感情。
東京なんて田舎もんの集まり、たかだか数百年の歴史しかない新しい街、っていう(笑)
人の感情は複雑です。