イングリッシュブートキャンプ:由美です。
英語をマスターしたい、と日々精進しているあなた。
そんなあなたに、少しでもヒントとなればと思い、この記事を書いています。
前編では、英語を流暢に操れるようになるための、重要なポイントについてお話しました。
今回はその続きです。
頭の中から追い出した母語(日本語)を取り戻す作業
さて、前回は、通訳者になるためには、英語を流暢に話せなくてはならない、そしてそのために
どういった学習をすればいいのか、というお話をしました。
外国語を流暢に話すには、頭の中で日本語を介さず、英語を英語のまま理解する、ということが
どうしても必要となってくるわけです。
小さな子供は、赤くて口の中に含むと甘くて酸っぱい果物が、イチゴであると理解します。
でも私たち大人は、strawberryという単語を覚える時、それがイチゴを意味すると理解する。
strawberry=赤くて甘酸っぱい果物、と理解するよりも、イチゴという日本語を介したほうが
理解しやすいし、覚えやすいからです。
けれどもこの状態では、外国語を流暢に操ることは、できません。
頭の中から日本語を追い出す、「英語⇔日本語」というプロセスを排除することが、
第二言語習得において、重要なんですね。
英語を普通に話せるようになるには、「strawberry=イチゴ」という「日英変換」ではなく、
「strawberry=赤くて甘酸っぱい果物」という、イメージ変換が必要となってくるのです。
流暢な人はみな、このイメージ変換に、成功した人たちです。
ところがところが、通訳とは「日英変換」をする仕事なんですね。
つまり、せっかく追い出した日本語を、今度はまた取り戻さなくてはならないわけです。
この訓練なくして、通訳という作業はできない。
そしてこの訓練がことのほか、大変なんですねぇ・・・
バイリンガルだからといって通訳はできない
昔、私がまだ中学生だったころ。
テレビの歌番組に、早見優ちゃんが出ていました。
ハワイ育ちの彼女はいわば、元祖バイリンガルアイドルでした。
ある歌番組で、ゲストに海外アーティストがいたのか、状況はちょっと思い出せませんが、
司会者が優ちゃんに「今なんて言ったの、訳して」みたいなことを、急に振ったんですね。
そしたら彼女、「ごめんなさい、私、通訳はできません」と、言ったんです。
その時、私はすごく驚いたんですよ。
英語ぺらぺらな早見優が、なんで咄嗟に訳せないんだろうと。
今なら当たり前のことだと思いますが、当時子供だった私は、彼女が通訳できないことに、
ちょっとガッカリしてしまったんですね。
でもこれは、モノリンガル(母語しか話せない人)にありがちな、勘違いなんです。
英語で話す(聞く)時は、英語以外の言語を介しません。
日本語を話す時、日本語以外の言語を介さないのと、同じことです。
なので、いきなりそこで「英語⇔日本語」というプロセスを、脳が取ることはできないんです。
もちろん、簡単なフレーズくらいなら、対応することはできます。
けれども長いやりとりとなると、脳が混乱してしまうんですね。
通訳というのは、特殊技能です。
外国語から母語へ、また母語から外国語へ。
もしくは、マルチリンガルの人であれば、複数の母語の間を行ったり来たりします。
これは勝手にスイッチが入るわけではなく、そうなるための訓練が必要なんです。
私自身、若い頃に通訳学校に通いました。
その時にこの訓練を、かなり繰り返しやりましたが、なかなか大変でした。
適切な日本語が、すっと出てこない。
口をついて出てくるのは、ぼんやりした言葉ばかりで、繋げると何を言ってるのかわからない。
自分ではわかっているけど、それを理路整然とした日本語(または英語)にすることが、
非常に難しいのです。
普通の会話や雑談を訳すだけなら、まだそれほど大変ではありません。
でも大抵の場合、通訳というのは、プロフェッショナルな業界において、ニーズがあるんです。
ITだったり、エンジニアリングだったり、金融だったり、医療だったり。
その分野の知識がないと、話自体が理解できません。
私は、FM局で通訳・翻訳をしていましたが、この時はまだ何とかなりました。
というのも、音楽はかなり好きだったし、そこそこ詳しかったので、対応できたんです。
たとえ知らないジャンルの音楽や、ミュージシャンが相手でも、頑張って調べました。
興味のある分野なので、すっと頭の中に入ってきます。
ところが、スポーツイベントの通訳をした時は、そうはいきませんでした。
国際マラソンやアジア大会など、なぜだかスポーツ音痴の私が、やたらとそっち系の仕事を
していたことがありました。
競技の名前もルールも、何も知らないところからスタートです。
まずは日本語のルールブックを読み、ルールを覚え、用語を覚えます。
日本語を丸暗記してから、それに対応する英語を覚える。
拷問みたいでした(笑)
そして当然のことながら、仕事が終われば、覚えた語彙はきれいさっぱり、忘れました(^ ^;)
あなたがなりたいのは、バイリンガル、それとも通訳者?
通訳というのが、いかに特殊技能であるか、これでおわかりいただけたでしょう。
もしもあなたが、通訳者になりたいと思うのであれば、特殊な訓練を積む必要があります。
また、何でもいいので、プロと張り合えるだけの知識を持つことが必要です。
需要が多いのが、IT、医療、金融です。
自分のキャリアを生かす、ということを前提にやらないと、遠回りになります。
たとえば、まったく金融業界を知らない人が、金融系の通訳をやるのは無理があります。
逆に、もしあなたが長年IT企業に勤めている、というのであれば、IT系通訳を目指せば、
比較的仕事にありつける確率は、高いでしょう。
有名人の通訳、政治家の通訳などは、一部の人にしか回ってこない仕事なので、超狭き門です。
それでもがんばれば、もちろん不可能ではありません。
あの人にお願いしたら、仕事がスムーズにいく、と思ってもらえれば、次に繋がります。
通訳者はいわば、黒子のようなものです。
けれども、黒子無しでは、舞台は回らない。
ある意味、陰の主役なんです。
いやいや、私は別に通訳者なんて目指してないわ~、普通に英語がペラペラになりたいだけ、
という人は、このまま母語(日本語)を介さず、ひたすら英語を英語として享受し、
楽しみながら、学習を続けてください。
要は、最終的に何を目指すか、なんですね。
それによって、英語の学習スタイル(内容)も、変わってくるということです。
以上、少しでも私の経験が、英語学習者の役に立てばと思い、この記事を書きました(^O^)
Yumiの発音矯正教本、好評発売中です♪
『Yumiの脱カタカナ英語マニュアル』は、英語の基本発声である喉の開き方から、
リエゾンやリダクションまで、段階を踏みながら習得できるように、まとめられています。
ランキングに参加しています。1クリックご協力お願いします。2つとも押してね
↓ ↓ ↓
携帯はこちらへ⇒人気ブログランキングへ
興味深く読ませてもらいました。そうですよね、最終的に何を目指すのかというのは重要。取り組み方が変わってきますもんね。
Chicaさん
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
語学をやるうえで大事なのが、どうなりたいか、なんですね。
ビジネスで必要なのか、普通に英語が話せるようになりたいのか。
通訳を目指すとなると、そんじょそこらの努力では無理なので、
かなりの覚悟が必要です(^ ^;)
たびたびブログを読んでおります。
通訳者はオノマトペがとても大変だと聞きました。
また、最近のニュースで「ベテラン」の意味が英語では「退役軍人」という意味に
なってしまうことを知りました。
このような言葉は語彙力がないと、とんでもない方向に話が進みそうです。
かがわのひとさん
コメントありがとうございます。
そうですね、カタカナ語は要注意です。
本来の英語(だけじゃないですが)と全く意味が違うこともあるので。
なのでなるだけ、カタカナを避けるようにしています。
擬音語は大変ですね。
英語より日本語の方が擬音語・擬態語に富んでいるので、
そのあたりは面白いのですが。
由美先生。はじめまして。
ずーっと由美先生にお尋ねしたかったことですが、苫米地英人先生の書いた『英語は逆から学べ!』に書かれている学習法についてどう思われますか。彼は毎日英語を何時間も流しっぱなしにして英語に触れる機会を増やしたり、英語母語話者が話すのを聞いて状況から言葉の意味を推測したり、使われる場面を理解したりと、英語で英語を考えるようにと言っています。英語圏の国でただ生活するというのなら、それでいいと思いました。しかし彼の言う通りの方法で勉強すると通訳にはなれないのではないかと思っています。通訳の人は英語発想で英語を話していないのだとしたら、頭の中はどうなっているのですか。通訳者はどうやって英語を自分のものにしたんでしょうか。
サマンサさん
通訳者の多くは帰国子女や留学経験者です。
なので、すでに英語のスイッチができあがっている人が、訓練により「英⇔日」の回路を発達させたというパターンが多いです。
苫米地さんも大学からですが、長くアメリカに住んでおられたので、ネイティブに近い英語をマスターされたと思います。
もちろん、留学・海外在住経験なく国内で独学で通訳になった人もいます。
そういう人たちの中にはセミナーをしたり、個人教授している人もいるので、師事されるといいのではないでしょうか。