先日、ノーベル文学賞を村上春樹氏が逃した、というのがニュースになっていました。
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さて、村上春樹というと、先日のエルサレム賞授賞式でのスピーチが印象深いですね。

私が村上春樹を初めて読んだのは、確か大学生の時でした。
基本的に日本語の小説はほとんど読まないのですが、
当時家庭教師をしていた子供のお母さんが、ぜひ読んでみてといって貸してくれたのです。
それが、「ノルウェイの森」でした。
村上春樹という作家が好きか嫌いか、と問われると、
どちらかというとあまり好きではないと答えます。
それは、大半のアンチハルキストが言う理由とは違い、
私は彼の描く小説に出てくるキャラクターが、どうしても生々しくてダメだからです。
爆笑問題の太田光が、村上春樹批判をラジオでしています。
それはこちらから聴けます⇒爆笑問題カーボーイ
この人、かなりの読書家のようで、言わんとしているところは的を射ているというか、
なるほどなるほど、と思わせてくれます。
特に、村上氏がサリンジャーやカーヴァーの影響を強く受けている、
パクっている(と太田氏は言っているけれど)というのは、
まあ誰が読んでもそう思うだろうなと思います。
氏の文体が、まるで翻訳小説みたいな文章だというのもその通りだと思います。
だからこそ、逆に英訳しやすくてあれほどワールドワイドに読まれているのではないかとも。
特に、アメリカのホワイトカラーに村上ファンは多い。
それは、三島由紀夫に傾倒するのと真逆でありながら、
一周して同じ地点に戻って来ているような、そんな感じなんですね。
ただ、「人物が描けていない」という一点に関してのみ、賛同できないんです。
村上春樹の小説の登場人物は血が通っていない、
なんだかみんな自分たちは特別だと思っている、上辺だけの会話だ、
という批判に関して、私はまったく逆の印象を持っています。
彼の小説に出てくる人たちは、基本的にみんな病んでるんです。
その細かい描写や台詞、エピソードが、あまりにもリアルで私は読んでいて辛くなります。
ああ、いるいるこういう人、というのがいっぱい出てくるんですね。
特に、女性たちがみんなニンフォメニアックだというのが、
この人は実際にこういう人たちを見てきた、関わりを持ってきたんだろうなと思わせる。
村上氏は、多くの現代日本人が病んでいるということに気が付いているのではないかと思います。
でないとああいう人物描写はできないし、そもそもあんなストーリーは思いつかない。
しかも、その引き出しが多い。
それは実際に関わりを持ってきたという証拠ではないか。
彼はジャズバーを経営していたといいます。
その頃出会ったであろう様々な人たちとのエピソードが、
その引き出しの元になっているのではないかと思います。
彼の描く女性キャラは、私がかつて知り合いだった人にそっくりなことがあります。
言うことまで同じで、ドキッとするのです。
小説なんだから、病んでいる人や変わった人が出てくるのは珍しくはありません。
ただ、村上氏が他の作家と違うのは、
病んでいること(人)自体がデフォルトとして描かれている、という点です。
それはまさに今の日本を象徴しています。
敢えて、このキャラは病んでいるとか、普通ではないとか、そういう描き方をしない。
まるで平凡な市井の人物かのように描く。
がしかし、実際は病んでいるので普通の物語展開にはならない。
登場人物はみなそれぞれおかしな行動を取る、しかもその理由がわからない。
だから、ある人から見れば「人間が描けていない」「気取った上辺だけの会話」
ということになるのでしょう。
欧米人、特にアメリカ人が彼を評価するのは、
60~70年代にアメリカが経験した不安定な時代を彷彿させるものが、
彼の小説にはあるからではないかと思います。
ベトナム戦争という大きな傷跡がアメリカに残したトラウマは大きい。
アメリカ社会が抱えた様々な病理は、当時の文学にも大きな影響を与えています。
アメリカはそれを乗り越えたわけですが。
今の日本は、また全然違う方向で社会全体が病んでいて、
しかも、それが社会問題にすらなっていない。
まるで病んでいるのがスタンダードであるかのようです。
それを文学というかたちで表現したのが村上春樹ではないかと思うのです。
日本の病み方は、欧米先進国のそれとは全く違うので、
欧米人からすれば、ある種のファンタジーとしての魅力があるのではないでしょうか。
また、多くの日本人が彼の小説を好むのは、攻撃性がないからだと思います。
少しでも攻撃的な部分や批判精神のようなものがあったら、
これほどまで万人受けはしなかったのではないか。
だからこそ逆に、私は読んでいて暗澹たる気分になるので好きではありませんが。
この人がノーベル賞を獲る日が、そのうちやってくるのでしょうね。
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