上海万博に湧く中国。
中国の勢いは凄いですね。
そのうち、GDPが日本を抜いて世界2位になるのも時間の問題では、と言われていますね。
私は、5年くらい前に上海に、去年北京に出張で行ってきましたが、
air pollution(大気汚染)も凄かったけれど、何より現地の人たちの活気に圧倒されました。
上り調子の国や人が持つ特有のパワーとでも言いましょうか。
没落してしまったヨーロッパの、あの独特のデカダンスと180度真逆の雰囲気と言いましょうか。
とにかく、ああ、高度成長期の日本もこんな感じだったんだろうなぁと思ったものでした。
ところで、この万博のテーマ曲が日本人アーティストの盗作であると、マスコミが騒ぎましたね。
私は、その日本人アーティストのことはよく知らないのですが、
本当に盗作であったとしたら、それは由々しき問題であると思います。
がしかし、ひとつ引っかかることがあるんですね。
それは、
日本人アーティストだって洋楽を丸々パクッてるじゃないか。
ということです。
実名を挙げることは控えますが、多くの人気アーティストやバンドは、
洋楽をそのまま盗作しているばかりか、演奏法や歌い方までマネしている人も少なくありません。
もちろん、クレジットに「○○のカバー」だとか、「××へのオマージュ」だとかは入っていません。
あくまでも、彼らが作詞、作曲したことになっているのです。
これって、ほぼどのメディアも取り上げません。
なのに、パクリ文化は中国のお家芸と言わんばかりの昨今のメディアの在り方に、
私は激しい嫌悪を感じますね。
自分たちのことを棚に上げて、お隣の国を一方的に悪く言うのは、メディアの国民に対する洗脳です。
今の若い人、という言い方は私はあまり好きではありませんが、敢えて言います。
若い人は、私の世代とは違って、非常にドメスティック(保守的)な傾向が強いと思います。
視野が日本の外に向かわないんですね。
彼らは、生れたときから当たり前のように携帯電話があり、DVDがあり、
円高のおかげで大抵のブランド品が手に入る環境にいます。
そういった恵まれた環境のおかげか、ハングリー精神に欠けているような節があると思います。
言い方は悪いですが、小さくまとまりすぎているんですね。
これは、知的好奇心に関して、顕著に表れていると思います。
たとえば、映画ひとつ取ってもそうです。
若い世代は、映画といえば2時間ドラマの延長のようなものしか見ない。
洋画をほとんど知らない。
音楽もJ-POPしか聴かない。
だから、中国が日本をパクッている、と平気で言えてしまうわけです。
日本だって欧米をパクッているという事実に気付きもせず。
まるで、自分が盗んできた自転車を駅前に違法駐車していたら誰かに盗まれた、
と盗んだ人間に対して大声で非難しているようなものです。
そもそも、その自転車はあなたのものではないでしょう(笑)
そういうのを、盗人猛々しいと言うのです。
早い話が、無知なんですね。
この手の例は、ごまんとあります。
首都圏にお住まいの人ならご存知かと思いますが、都内JR線は各駅がそれぞれテーマ曲を、
電車到着及び発車アナウンスとして流しています。
たとえば、高田馬場駅は、手塚治虫氏ゆかりの地ということで、「鉄腕アトム」のテーマを。
蒲田駅はつかこうへい氏のヒット映画、「蒲田行進曲」のテーマを。
恵比寿駅は、エビスビールのテレビCMで使われた、「第三の男」のテーマを流しています。
あるとき、知り合いの20代の男性が、この恵比寿駅のテーマ曲を、
エビスビールのテーマソングだと思い込んでいたので、
違いますよ、これはかのオーソン・ウェールズの名画、「第三の男」のテーマですよ、
と教えてあげたんですね。
すると、その人はなんだか興味なさげな顔をして、「ふ~ん」と言ったきりでした。
ちなみに、彼は小さな製作会社に勤めていて、映像の仕事をしている人です。
つまり、一般人ではなくいわゆる業界人なわけです。
映像関係の知識は、たとえ私より一回り以上若かったとしても、
私よりずっと詳しくて当然の職業についている人なのです。
こういうことは、結構多いんですね。
知人の俳優さんが、関西の某大学の映画学科で準教授をしているのですが、
彼が講義中に黒澤明の話をしたところ、学生の反応があまりに鈍いので、不審に思い、
黒澤明を知っている人、と聞いたらなんと半分くらいしか手が上がらなかったのだそうです。
タランティーノを知っている人、と聞くとそのまた半数くらいになってしまったと嘆いていました。
彼らは普通の若者ではありません。
大学の映画学科の学生、つまり、将来的には映画監督や脚本家を目指している人たちです。
にもかかわらず、一般人でも知っているような常識を、
映画の神様と呼ばれるような人の名前を知らないで平気でいるのです。
まだあります。
先日某ベテランタレントさんと飲んでいた時のことです。
彼は、最近のバラエティー番組がとてもやり辛いというのです。
この方は、非常に器用な方で、お笑い芸人さんではないけれど、
よくバラエティー番組で芸人さんたちと絡む仕事をするんですね。
それが、最近の芸人さんたちは昔と違ってとてもやりにくいと言うのです。
理由は、昔の芸人さんは色んな意味でインテリが多かった。
芸に関することだけでなく、経済や芸術、政治など幅広く物を良く知っていた。
ところが、ここ十数年くらい、お笑いタレントと呼ばれる人たちの質が落ちた。
ほとんどが、いわゆるヤンキー上がりの人たちで、瞬発芸はできても知的な会話ができない。
そして、一番やっかいなのは、当の本人たちがそのことに気づいていないばかりか、
そういう現状をなんとかしなくてはという向上心がないことなのだそうです。
これは、エビスビールのテーマソングの知人と同じだと思います。
知らないこと自体はさておき、そのことに対して恥ずかしいと思わない姿勢が問題なのです。
自分は一般人、彼らが好んで使う表現をすると“素人”以下の知識しかない。
自分はなんと無知なのだろう、これではまずいぞ、と思わないことが問題なんですね。
無知であることを自覚し、もっと学ぼうと思う姿勢はどの分野においても重要なはずです。
プロ意識と言い変えてもいいと思います。
こういう傾向は、ここ十数年強まったと私は思います。
そして、同じように感じている人が他にも結構いるんだということがわかって、
これは私個人の気のせいではないと実感しました。
そう思えば思うほど、益々この日本の現状に不安を感じてしまうのです。
人のふり見て我がふり直せ、ではないですが、
お隣の国の状況を、自分たちには無関係なことだとは思わずに、
自分たちの本当の姿をちゃんと見る必要があると思います。
自分たちがいかに無知であるか、それを知ることこそ最も重要なのです。
そのためには、やはり一度自分を客観的に見つめ直す必要があります。
日本という国を、外から見てみる。
すると、これまで見えてこなかったことがあぶり出しのように浮かび上がってきます。
英語は、そういう意味でも大きなツールとなりうるものだと思います。
何度も繰り返しますが、言葉を知ることは、文化を知り、メンタリティーを知ることです。
メディアに簡単に洗脳されない、自分の頭で物を考える力を培うことです。
上海万博の報道を横目で見つつ、そんなことを思った私です。
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無知の知を知ることの大切さ
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biasのかかった情報に流されていては正しい判断ができませんね。
そう陥らないためにも私は「英語」及び「インターネット」2つのツールが重要であると思います。
「英語」に関しては、海外のニュースや事象も翻訳されどんどん日本に流入していますが、日本語に翻訳されたものは何らかのbiasがかかっているような気がしてなりません。
生文で読聞できれば、自分で判断・行動する可能性も広がりますしね。
「インターネット」に関してですが、日本の産業が欧米のコピーをしているのは明らかでしたが、それを国内メディア等が批判したというのは全く聞いたことがありませんでした。
マスコミはあくまで利益を追求する団体ですから、スポンサー及び自身に都合の悪い事実まで親切に流す必要ないんですものね。
自由発信型のインターネットなら少なくとも能動的に情報を得ることができる点において、随分優れていると思います。
いずれにおいても、Yumiさんのおっしゃる通り、もっと外から自分達の国を客観的に見れるようになるべきですね。 もちろん私も含めですけど…。
長くなりました…スンマセン。
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>巨神兵さん
海外のニュースは、日本に入ってくる時点で2重にバイアスがかかっています。
まず、日本にとって都合の悪い情報はシャットアウトされます。
一瞬は流れますが、しばらくすると、ヤフー、グーグル、いずれもいくら検索しても出てきません。
そういう時、ヤフージャパンではなく、本家ヤフー(ドットコム)に飛んで、英語でサーチをかけるとすぐに出てきます。
日本は、中国みたいに海外サイトを締め出すところまではしていませんから。
もう一つのバイアスは、翻訳が適当だということです。
記事全体を訳すのではなく、一部分だけ抽出しているため主旨が180度違っていることもあります。
その翻訳だけを見た人は、書き手が伝えたかったこととは真逆の印象を持ってしまうわけです。
英語をそのまま原文のまま理解できるということは、こういったバイアスを避けるためにも必須だと思います。
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そうそう、自分たちのこと棚に上げて、よくまあ中国のパクリ文化だとか北朝鮮の全体主義を批判できるな、と。
日本の自称アーティスト(この国じゃ歌謡曲もロックだからね)たち、パクってないのを探すほうが難しいんじゃない?○'zしかり、ミ○チルしかり。で、それを聴いてる人たちも、二手にパキッと分かれる。彼らがパクッてることを承知で好きだという人たちと、パクッてること自体知らない、洋楽を聴かない人たち。
当然、後者のほうが圧倒的に多いわけよー
日本は、洋楽リスナーは邦楽を聴かないし、その逆もないんだよね、あんまり。この辺も、見えない文化の壁というか、精神性の違いを感じるね。海外旅行してても英語がまともにできない人たち、買い物しか興味ない人たちの精神構造と似てるかも。
バイアスの話、ホントその通りだと思う。この国が変わるにはまだまだ時間がかかるよね(っていうか、変わる日は来るのだろうか)。
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>よさん
コメントありがとう~☆
自分のことを棚に上げて他者を批判する。
これって、ある種のダブルスタンダードでもあるんだよね。
昔、ある韓国の歌手が日本のミュージシャンの楽曲をそのままパクっててね。
友人がえらく憤って、その韓国シンガーをこきおろしていたの。
彼女はその日本人アーティストの大ファンだったから。
でも、彼女が好きなアーティストの曲は、そのまんま某洋楽ハードロックバンドのパクリでね。
彼女が好きなボーカリストも、某ハードロックバンドのボーカルのパクリ。
私、そのことを指摘したのよ。
そしたら、「そんなことないっ!!」と逆切れされてしまった(笑)
でもって、やはり彼女も洋楽を聴かない人だったのね。映画は見てるみたいだったけど。
逆切れされたときに、物凄い文化の壁を感じました(苦笑)
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先日はレスありがとうございました。
日本人は、他人の創造したものをコピーするのが、昔から得意ですよね。日本の古典文化だって元々大陸から入ってきたものですし。
J-POPも洋楽のパクリな上、ひとつ大きくブレイクすると、軒並み似たような音楽性、歌い方のミュージシャンが大量生産される。
冒険出来ない(させない)国柄なのだと思います。ミュージシャンもリスナーも安定志向で、それに疑問を投じる事をしない。だからカリスマも生まれない。
ネタはもう出尽くしてると言われて久しいですが、それを踏まえて、なお新しい事に挑戦し続けようという姿勢こそ、アーティストの条件じゃないんでしょうか。
若者が音楽を聴く動機も刹那的になってきていて、付き合いの為に、とりあえずカラオケで歌えるJ-POPの流行歌を押さえておけ、みたいなリスナーが多いらしく、いち音楽ファンとして嘆かわしい限りです。
それにしても、映画学科に所属していて、世界の黒澤や、タランティーノを知らないなんて、クラシック音楽家がバッハやモーツァルトを知らないようなものじゃないですか。唖然としました。
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>ギルさん
コメントありがとうございます。
程度の差はあれ、アジア(もちろん日本を含む)に知的所有権の概念はないんですね。
だから平気で他人のものをコピーして、それでお金儲けをしてしまう。
こういう風土は、一朝一夕には変わらないだろうとは思います。
私は以前出版関係におりましたが、中国、ベトナム、インド、どこに行っても、
piracy(海賊版)の問題がついてまわりました。
日本は海賊盤こそありませんが、名だたる大学の教授が、
平気で自分のサイトに本の内容をPDFで載せたり、勝手に翻訳して出版したりしていました。
大学教授ですから。知的階級のトップにいる人でさえその程度の認識なんですね。
映画監督を目指す人が世界のクロサワを知らない。
世も末ですよね・・・
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こんにちは~
はじめてコメントします。
>理由は、昔の芸人さんは色んな意味でインテリが多かった。
芸に関することだけでなく、経済や芸術、政治など幅広く物を良く知っていた。
ところが、ここ十数年くらい、お笑いタレントと呼ばれる人たちの質が落ちた。
ほとんどが、いわゆるヤンキー上がりの人たちで、瞬発芸はできても知的な会話ができない。
これ、すっごいわかります!
今のお笑い芸人って、底が浅いですよねー
トークで売ってる人たちも、内容が浅いというか、はっきりいってくだらないどうでもいい話を垂れ流してるだけですもん。
見てて嫌気がさしてあっという間にチャンネル変えちゃいます。
昔はそんなことなかったなぁと思うんですが。
今の若者は、物を知らなさすぎると私も思います!
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>みかさん
コメント、ありがとうございます。
若手の芸人さんは、瞬発芸しかできない人が多いというか、
そういう人しかメジャーになれないテレビ業界の実情があるようです。
昔なら、古典落語だったり、チャップリンの喜劇だったりといった知識が下敷きとして当然あるので、
それを踏まえたジョークやギャグ、話のオチを期待してトスを上げることができたのが、
今の若手芸人は無知なのでそれができない。
そこに気付かず、知的なトスを上げると人気芸人に恥をかかすことになり、二度と番組に呼んでもらえなくなる。
だから難しいのだとぼやいていましたね。
ちなみに、今の若手で唯一まともに知的トスを拾えるのは、爆笑問題くらいだそうです。
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数年前にオ○ンジレ○ジという洋楽や邦楽の色んなパートをパクってくっつけて曲を作ってたバカ売れしたバンドがいたんですけど、ファンは洋楽なんか全く知らない10代の女の子。
次々とパクリがバレてネットや雑誌で叩かれ出しても「良い曲だしカッコイイんだからいいじゃん。何が悪いの?」「パクリでも売れてるから凄いじゃん!」「売れてるからって妬んでるの?」なーんて意見が次々出てましたからね。
お笑い芸人に関しては売れるような芸人は頭カラッポで、下品な芸風が売りであるたけし軍団なんかが、討論番組やワイドショーなんかで経済についてまともに語ってますからねー。あとは爆笑問題とか。
吉本がお笑いを盛り上げたけど、吉本のせいで薄っぺらくなったと思います。
商業化が進むと効率化ばっかり重視して薄っぺらくなりますね。
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>ニートCPAさん
10代の子供が無知なのはまだ許せます。
深刻なのは、大学教授ともあろう人が平気で人の本を自分のサイトに載せ、出版社から忠告されると、
学生はお金がないから高い洋書は買えない、だから彼らのためを思ってやっているのだ、
と逆切れするという現実です。
まるで、盗んだお金を貧しい長屋の人達にばらまく義賊気取りです。
音楽業界で中堅クラスのミュージシャンが、オリジナルよりアレンジはこっちのほうが上だ、
と平気で言ってるのを耳にしたこともあります。
盗んできた車を改造して「こちらのほうがいいでしょ」と言って売るのと同じ行為だと言ったら、ムッとされました(苦笑)
これが日本の現状ですよ。
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その通りだと思う部分もありますし、私がひっかかる部分もありました。
いま、多くの人が若者にハングリー精神が欠けていると言いますが、この豊かな日本でめぐまれた環境を最初から与えられた彼らにそれを求めるのはいかがなものかと思います。
この環境を作ったのはいまの年寄りたちです。
その年寄りたちもさらに一昔前の年寄り達に「若い世代はこれだから・・」と言われてきていたいと思います。
ハングリー精神を持つ為に、貧しくなればいいのかと言えばそうではないですし。
今は若者でも多くの人がワーキングプアで明日の生死さえわからないという環境で生きています。
私の読み方もよくないのかもしれませんし、ブログは一個人の気持ちを書くものなので決して批判する意味ではなく、もう少しいろいろな角度からも見てもらえたらと思いました。
すいません。
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>さえさん
>この環境を作ったのはいまの年寄りたちです。
その通りだと思います。
今のこの状況を作ったのは他ならぬ年寄りだと私も思います。
若い世代は、身に覚えのない借金を背負わされ、払わされている状況です。
ただ、年寄り連中を変えるのはほとんど不可能だと思うんですね。
彼らは、乱暴な言い方ですが、日本が沈没してもかまわないんですよ。
その頃自分たちはこの世にはいませんから。
これからの日本を背負うのは若い世代ですから。
だからこそ、彼らに立ちあがった欲しいのです。
私がここで言う「若い世代」とは、ワープアで明日をも知れぬ人たちではりません。
親のお金で当たり前のように大学に進み、
けれども勉強する気などなく無為に過ごしているような人たちです。
そういう層に、変わってもらいたいと思って記事を書きました。