唐突ですが、みなさんのご出身はどちらですか?
東京近郊でしょうか。それとも、東北、九州、関西・・・といった“非東京圏”でしょうか。もしも、あなたが非東京圏出身であるとしたら、それは大変なラッキーだと言えます。というのも、あなたはすでに“モノリンガル”ではないからです。
モノリンガルとはすなわち、ひとつの言語しか話さないということです。2ヶ国語話せる人をバイリンガル、3ヶ国語話す人をトリリンガル、またはマルチリンガルと言います。monoとはひとつ、ということ。biとは2つということですね。自転車(2輪車)のことをbicycleと言うのもそこから来ています。
標準語圏(東京近郊)で生まれ、標準語を話す親に育てられ自分も標準語しか話せないということは、つまりその人の言語脳や耳は完全にモノリンガルとなっているわけです。標準語が話せる時点で、あえて他の方言をマスターしようとは思いませんね、普通。なので、その人の言語脳はそれ以上変化することがありません。これは、外国語をマスターするうえで少しばかり不利と言えましょう。
あなたが標準語圏出身ではなく、今標準語を操っているとすると、それはすなわち既に母国語とは違うアクセントや表現に慣れるため言語脳を訓練したことに他なりません。あなたはどのようにして標準語を話すようになりましたか。テレビなどのメディアを通じて耳にしている言葉を、実際に自分で使ってみたのではないですか。始めて自分で口に出した時、なんだか自分の言葉ではないような、外国語を話しているような感覚に見舞われませんでしたか?そこには戸惑いという大きな壁がそびえています。それを乗り越えたからこそ、今あなたは本来自分の言葉ではない標準語を話しているのです。
最初は多少の抵抗感があったことでしょう。まずは、見よう見まねで人が話しているのを聞き、それを自分でも再現してみる。恐らく、これは非東京圏出身の人が標準語を話すようになるのに必ず通る道だと思います。テレビのなかった昔とは違い、今は毎日普通に標準語を耳にしているはずです。けれども、耳で聞いて理解するというのと、実際にそれを自分も言ってみるというのとは別の技能なのです。
言語学的に言うと、前者はreceptive skill(受け身の技能)、後者はproductive skill(能動的、つまり発信する技能)と呼ばれます。聞いて理解するのは受け身ですが、実際に口に出すのは違うということです。よく、田舎に行くと、年配のタクシーの運転手さんなどはかなり地元の方言がきつく、何を言っているのかわからないということがあります。けれども、こちらの言うことは理解しているんですね。つまり運転手さんは、receptive skillはあるけれどもproductive skillが足りない、ということになります。
言ってることはわかるけれど、自分は同じように返すことができない、というパターンは案外多い。ここに、言語というものが持つ特性が表れています。訛りがなかなか抜けない、という人がいますね。けれども、何度も真似て話しているうちにだんだん癖が抜けていきます。個人差はありますが、臆さず積極的に話す人は比較的上達も早い。言葉はモノマネから始まります。聞いて、それを実際に口に出して再現してみる。相手に通じるか試してみる、通じなかった場合何が原因かチェックしてみて、もう一度トライする。その繰り返しです。
英語も同じです。聞いて理解した気になっても、それを自分で再現できないとマスターしたことにはなりません。日本人の多くが、receptive skillにこだわるあまり、productive skillを怠りがちなように思います。聞き取れた、はいOK!ではなく、聞いたら今度は自分が口に出して言ってみる。同じスピート、同じ間合い、同じアクセントで。それを何度も繰り返すことが重要です。
聞いたらそれをマネして口に出す、という癖をつけましょう。
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