中学英語で習う助動詞に、can がありますね。
それでは、can とはどういう時に使われるのでしょう?
例文を作ってみてください。
そう言うと、ほとんど100%、日本人は下記のように答えます。
can は「できる」という意味。
たとえば、I can swim. (私は泳げます)
これは決して間違いではありません。
もちろん、can は能力を表す助動詞でもあります。
がしかし他に、もっと代表的な can の役割があるのです。
それはなんでしょう?
コーパス(英語表現のデータベース)によると、can の圧倒的な使用例は、
能力を表すものではなく、依頼や許可を表すものだという結果が出ています。
例を挙げると、
Can I use your phone? (電話を借りてもいい?)
You can sit there. (そこに座ってもいいよ / 座ればいいんじゃない)
Can you do me a favor? (頼みがあるんだけど)
というように、一般的に日本人が習ってきた「~できる」という用法の can は、
むしろマイナーな使用例なのです。
こういったパターンは他にも結構たくさんあります。
たとえば、同じ助動詞の仲間である must などもそうですね。
must の代表的な意味は、「~しなければならない」という義務を表すものではありません。
You must be tired. (お疲れでしょう)
It must be fun. (面白いに違いない / 絶対面白いって)
Oh, that must be Michael. (あ、それってマイケルじゃない?)
というように、「~に違いない」という断定的な表現が圧倒的に多いのです。
これが9割以上を占めます。
もちろん、I must go now. (そろそろ行かなきゃ)といったように、
「~しなければならない」という時にも使いますが、
頻度で言うと少ないわけです。
日本人は、中学英語において、頻度の低いものを優先的に習っている、
という非常に非効率なやり方をしてきました。
あまり使わない用法を熱心に勉強しても、無駄とまでは言いませんが、遠回りですよね。
英語には、この手の例はたくさんあります。
何事も、優先順位というものがあります。
それが高いものから順にカバーしていくのが、最も効率の良い方法なのは言うまでもありません。
can = 可能、must = 義務、と思っている限り、英語マスターへの道は遠回りになります。
日本の学校英語は、こういった無駄が多いのです。
無駄を省いて効率よく英語を学ぶことが、大事なのではないでしょうか。
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