なぜ、英語を勉強するのでしょうか。
留学したい、外国人の友人が欲しい、映画を字幕なしで見たい、
外資系企業に転職してステップアップしたい、就職するのにTOEICのスコアが必要、などなど。
人それぞれ、目的は違うことだと思います。
外国語を知るということは、母国語を知ることであり自国の文化を知ることです。
外に出ることで、人は初めて自分がいた狭い世界を客観的に見ることができる。
そういう意味でも、英語を習得する意義は大きいのです。
ところで、私が英語に興味を持つようになったきっかけは、はるかン十年前に遡ります。
まだ小学生だったころ、私は色んな習いごとをしていました。
今の子供とは違い、当時の習いごとというと、習字にそろばん、女の子ならピアノ。
あとは公文式、といったところでした。
そんな中、たまたま近所に子供を対象にした英会話塾が開校したのです。
幼なじみが通っているということで、なんとなく私も通いたくなったという、
子供にはよくあるパターンでした。
それだけなら、私の英語熱もそこまでだったと思います。
ところが、時を同じくして、あるテレビドラマがスタートしました。
それは、マチャアキこと堺正章主演の『西遊記』でした。
今は亡き伝説の女優、夏目雅子が玄奘三蔵(三蔵法師)を演じ、マチャアキが孫悟空を演じた、
当時かなり話題となったドラマです。
最近では、SMAPの香取慎吾君が孫悟空を演じ、リメイク版が映画になりましたね。
オリジナル版は、今から30年以上も前、私が小学生の頃に放送されたのです。
そして、その主題歌に使われたのが、ゴダイゴのMonkey Magicでした。
当時、全編英語の歌詞というのは非常に珍しく、
またボーカルのタケカワユキヒデがチャイナ服を着ていたこともあり、
多国籍なイメージが強いバンドでした。
音楽性も、いわゆる日本の歌謡曲ではない、洋楽と言っていいものでした。
私の、人生初の洋楽との出会い、本当の意味での音楽との出会いがここにありました。
モンキー・マジックと、エンディングテーマだったガンダーラは、
当時私が通っていた小学校でもかなり話題となりました。
あれは何と言っているのだろうと、クラスメートたちと語り合ったものです。
ガンダーラは、サビの部分だけが英語でした。
それは、
In Gandhara, Gandhara, They say it was in India
という、今思えば極めて簡単な歌詞だったのですが、
いかんせんタケカワユキヒデの本格的な英語の発音が、聞き取りを難しくしていて、
両親や教師など周りの大人たちに聞いても、誰ひとりわかる人はいなかったのです。
たまたまタイミングよく英会話を習い始めていた私は、
あんな風に外国人みたいな発音で英語が話せるようになりたい、と強く願うようになりました。
その後、完璧にゴダイゴにはまったのが、ビューティフル・ネームという曲でした。
この曲は、1979年の国際児童年の協賛歌でもありました。
日本語バージョンのほかに、英語バージョンもあり、
何かの歌番組で、たまたま英語バージョンを聴き、私はこの歌に魅せられたのです。
当時はレコードは贅沢品でした。
まだ小学生だった私に、レコードを買う余裕などありません。
誰かにカセットで録音してもらった記憶がうっすらとあります。
この英語バージョンの歌詞を、自分なりに一生懸命訳して覚えたものです。

今聴いても、その音楽性の高さに驚かされます。
その後、タケカワユキヒデのエッセイなどを読み、彼が東京外大の学生だということを知りました。
私も外大に行きたい、と子供心に思ったものです。
思えば、これが私が英語をマスターしたいと思ったきっかけだったのです。
その後、中学生になって、洋楽にハマることになります。
世間はジャニーズ一色で、たのきんトリオなんかが大人気だった頃でしたが、
私の心は洋楽やハリウッドの映画スターに向かっていました。
いつか、字幕なしで映画がわかるようになりたいと願うようになったのもこの頃でした。
そのモチベーションが、私を英語へと向かわせたのだと思います。
それ以降、20代半ばくらいまで私の洋楽・洋画熱は続くことになります。
英語は後からついてきたようなものでした。
大好きなスターが何を言っているのかわかるようになりたい、という強い思いは、
どんな目的意識よりもはるかにパワーがあるのです。
これから英語をモノにしたいと思っている人は、なんでもいいから好きな物を見つけましょう。
対象はなんでもいいですが、できれば人間がいいと思います。
その人が何を考え、何を言っているのか知りたいという欲求は、
コミュニケーションの原点であり、強いモチベーションとなるからです。
私を英語に向かわせてくれたゴダイゴに、今さらながら感謝します。
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