バブル時代の回顧録です(笑)
私が就職活動をしていた時代は、まだ就職協定なるものがありました。
正式に企業が学生をリクルートし、内定を出してもいい日を決めていたんですね。
確か8月1日とか、そんなだったと記憶しています(あまりに遠い昔のことなのでうろ覚え)。
とはいえ、これも所詮はきわめて日本的なおためごかしで、
実際は水面下でみんな動いていたんですね。
4年生になると(理系の人たちは既に3年時で動いていましたが)、
自分の大学出身者(つまりOB、OGですね)にコンタクトを取ります。
当時は、そういう名簿が普通に出回っていました。
雑誌のペンパル募集欄に本名と住所が載るような時代でしたから、
個人情報の保護云々、といった概念自体がまだない時代だったんですね。
そこで、自分の先輩に電話をし(メールなんてありませんから)、アポを取ります。
逆に、企業から電話が来ることもあります。何せ、空前絶後の売り手市場でしたから。
リクルーターと言われる人たちは、大抵が入社すぐの新人で、
卒業大学ともう2、3大学を受け持たされ、毎日後輩とアポを取って会っては、
良さそうな学生を探していたのです。
リクルーターとの面談は、大抵の場合どこかの喫茶店で行われます。
その後、リクルーターが人事担当者につなげます。
私の場合、リクルーター⇒関西地区人事担当者(内々定)⇒東京本社リクルータートップ(内定)、
というプロセスだったと思います。
5月の時点で、すでに内々定をいくつかもらっていました。
最終的に決めたのは、関西地区人事担当者の男性が非常に感じがよかったこと、
その人が私をとても評価してくれたことが大きかったと思います。
今思えば、人事担当者と一緒に仕事をすることなど可能性として低いのだから、
それを判断基準にするのはきわめて安易だったと反省するのですが、
世間知らずの小娘だったのだから、しかたがありません。
ただ、本社のリクルーターのトップと面談した時点で、嫌な予感はしたのです。
この会社は慶応閥のある企業で、そのリクルーターも慶応出身の女性でした。
いわゆる、総合職第一期の人で、体中から自信があふれているような人で、
その人から、
あなたたちは次代を担うエリートなのだから
その辺の人間とは違う
そういう自覚を持って頑張れ
○○(企業の名前)の看板を背負っているということを忘れるな
などといきなりまくしたてられ、私の気持ちは一気に萎えました(苦笑)
当時、拘束旅行というのがありました。
協定解禁日に、学生が逃げないように一晩軟禁するのです。
懇親旅行という名目でどこかの温泉にバスで旅行をしたのですが、
その時にも先輩社員たちから散々なことを言われました。
日本では、企業(というか業界)間でおかしなヒエラルキーがあるようで、
商社・広告代理店>金融>メーカー>流通という図式ができあがっているのです。
たまたま同じく拘束旅行で来ていた某メーカーの内定をもらった男性たちが
私たちに話しかけてきました。
誰でも知っているような、大手食品メーカーの人たちです。
それを見たトップリクルーターは、いきなり私たちを部屋に呼びつけ、
あなたたちはエリートなのよ、あの程度の男でいいの?!
ぼんやり話なんかしてるんじゃないわよ!!
もっとあなたたちにふさわしい男を私が紹介してあげるから!!!
と怒鳴られたのです。
お説教は小1時間ほど続きました。
思えば、ここで内定をお断りするべきでした。
実際に入社してからも、こういう「エリート洗脳研修」は続きました。
4月には研修所に3週間缶詰にされ(ほぼ軟禁状態ですね)、
朝から晩まで、おかしなビデオを見せられたり、トップの講話という名目で、
歪んだエリーティズムを植え込まれるのです。
君たちは生え抜きだ
我々は日本経済を動かしている
うちが潰れたら日本も潰れる
負け犬になるな
などなど。
夏に行われた2度目の研修の時点で、女性総合職は3分の1ほど辞めていました。
残った人たちも、これは何かがおかしいと思いつつ我慢しているという感じでした。
けれども、男性は大方洗脳されていて、目つきや話し方まで別人になっていました。
この話を大学の同期やその他同世代の友人に話すと、
多かれ少なかれ大手商社や金融の新人研修とは似たようなもので、
醜悪なエリーティズムを新人社員に洗脳する内容だったことがわかりました。
結局、私は入社半年でその会社を辞めました。
これ以上いると、自分も染まってしまうのではないかという恐怖があったからです。
あれから20年。
バブルは崩壊し、「俺たちが世界をリードしている」といった愚かな勘違いは、
もはやなくなっただろうとは思います。
けれども、日系企業のああいう体質というのは一朝一夕では変わらないと思います。
今、中国やインドの勢いはとどまるところを知りません。
中国企業は、レナウンやLAOXといった日本企業をどんどん買収しています。
俺たちが潰れたら日本は潰れる、と豪語していた某企業のライバル社は、その数年後に倒産したのです。
日本はどうなっていくのでしょうか。
そんなことを考える、今日この頃です。
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