英語上級者ならだれでも気付いていることだと思いますが、
英検にせよ、TOEICにせよ、英語の試験というものはどれもリスニングが不自然なんですね。
不自然という言い方は語弊があるかもしれません。
AさんとBさんの会話があったとして、それは日頃カフェや路上などで耳にする
自然な流れの中での会話とは質が違うものだ、とでも言えばわかりやすいでしょうか。
彼らは決して言い淀んだり、途中で詰まったり、声が裏返ったりすることはありません。
これは当然のことなんですね。
どのリスニングマテリアルもそれらは全て、scripted(作られた)会話だからです。
AさんとBさんは本当に友人同士なのではなく、どちらもvoice actors(声優)です。
声優がscriptを見て読んでいるわけですから、ナチュラルでないのは当たり前です。
これは、私が常々声を大にして言っていることなのですが、
TOEICのリスニングをある程度攻略した人は、次のステップに進むべきです。
それは、本物の会話を聞く訓練です。
TOEICのリスニングのパートで大体9割取れるようになったら、
そこで満点を目指して攻略本を徹底的にやったり、テクニックを身に付けたりするのではなく、
本当に英語が使えるようになるために、次のステップに進んだほうが絶対に有効です。
TOEICのスコアは、英語能力の結果であって目標ではありません。
たとえ、TOEICのスコアなど持っていなくても英語が流暢に話せる人と、
スコアが900点以上あっても、まともにネイティブと話ができない人がいたとしたら、
それは前者のほうがいいに決まっています。
英語なんて話せなくてもいい、使えなくてもいい、TOEICのスコアさえよければいいというのは、
健康が一番、この世で健康ほど大切なものはない、健康のためなら私は死んでもいい、
と言っているのと同じようなものです(苦笑)
私は別にTOEICやその他英語の資格を否定しているわけではありません。
そうではなくて、実際に英語を使える人にならなくては、意味がないのではないかと思うのです。
それこそが、語学をマスターする目的であるはずだからです。
当たり前のことですが、人は脚本を元に話すわけではありません。
会話には流れというものがあり、そこは必然的にその人特有のピッチの高低が現れます。
また、途中で言いなおしたり、詰まったり、最終的には全く違う方向へと進んだりするのが、
自然な会話の流れというものです。
人はスピーチ原稿を読むでもしない限り、流れる水のごとく流麗に、
一気にワンセンテンスを話すということはまずないのです。
そういう、生きた英語に慣れるためにはどうすればいいのでしょう。
おススメするのが、テレビドラマや映画を見ることです。
ドラマの中では、俳優は極めて自然な話し方をします。
彼らも、もちろん脚本があってそれを元に話しているわけですが、
試験のリスニング問題とは違い、まるで台本などないかのごとく演じるのが、プロの俳優というものです。
なんか不自然だなぁと感じたら、その俳優が大根だということです。
テレビドラマや映画を見て、普通に会話が聞き取れるようになればリスニングは合格と言えます。
CNNやBBCなどのニュース英語ももちろん重要ですが、
ニュース英語は語彙さえ知っていればある程度聞き取れます。
最も難関なのが、意外と思うかもしれませんが、普通の会話なのです。
今は、昔と違って英語のサブタイトル(字幕)を見ることができます。
これは本当に便利です。
私が必死で英語をやっていたころは、ようやく音声多重で吹き替えでなく英語でドラマが見られる、
というような時代でしたから。
今の人は恵まれています。
好きなドラマや映画のDVDを買ってきて、何度も繰り返し見るといいでしょう。
慣れてきたら、今度は一緒に台詞を言うと、スピーキングの練習にもなります。
これは非常に効果的です。
ぜひ、試してみてください。
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どうしても不自然なTOEICのリスニング
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Yumiさんの英語力向上講座、いつも楽しく拝見しています。
Yumiさんオススメの映画の台詞を口に出す練習を毎日欠かさずしているのですが、どうしたらいいのかわからないところがあり図々しくも教えていただきたくコメントしました。
英語の字幕を出してそれをそのまま読むと台詞のスピードに追いつきませんし聞こえる台詞とはかけ離れたものになってしまうんです。
ほとんど発音されない部分やリエゾンがあるからだと説明されていましたよね。
耳で聞き取った台詞通りに口に出すとその発音されていないように私には思える部分はどんなに音を真似ても発音できません。
その単語を抜かしているようにさえ聞こえてしまうのですが、発音しなくていいものなのでしょうか。
それともネイティブではない私にはしっかりと聞きとれない弱い音をネイティブの方は何かしら発音されているものなのでしょうか。
抜かさないと台詞のスピードに追いつけないので聞こえない音を抜かしてよいものならそうしたいのですが、抜かしてしまうとネイティブの方には片言に聞こえてしまうのではないかと心配なのです。
旅行に行ったときくらいしか英語を喋る機会はないのでそんな心配無用なのですが(苦笑)どうせ勉強するなら綺麗な英語を喋りたいんです。
アドバイスいただけないでしょうか?
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>くみさん
コメントありがとうございます。
英語は、スペリングと発音が一致しないという、非常に意地悪な性質があります。
ほとんど発音されない音や、次の音に繋がって聞こえる音など、
リズムとタイミングを合わさないと、ナチュラルスピードについていけません。
ほとんど消えてしまう音というのはありますが、完全に消えてなくなるわけではありません。
途中まで口(舌)は動いても、そこで止まってしまい次の音に流れる、といえばいいでしょうか。
まったく発音しないと、それは別の単語になってしまいネイティブには通じなくなります。
文章で説明するのには限界がありますね(苦笑)
まずは、自分が苦手な音を書きだして、どこがネイティブと違うのか、
リストアップしてみるといいかもしれません。
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台本のない会話での、途中から文法的に帳尻を合わせていくところがすごく勉強になりますよね。 普通の会話ではないのですが、尊敬する作家のインタビューや、あと討論番組などは毎日みています。
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>F-Jさん
インタビュー番組は、面白いしリスニングの訓練にもなりますね。
あと、個人的にはトークショーなんかも好きです。
オプラ・ウィンフリーの番組はよく見ていました。