今回は、多読(extensive reading)についてお話ししたいと思います。
以前も、多読について書きましたが、最近では一部の高校や大学などでも流行っている学習法です。
多読がここまで市民権を得たのは、ひとえにSSSの影響力のたまものだと思います。
SSSは、学習塾SEGの代表である古川昭夫先生が立ち上げたものですが、
その発足に深く関わっている、電気通信大の酒井邦秀先生の存在が非常に大きいと思います。
ちなみに、SSSは「しっかりしてよ、酒井先生」のアブリビエーションだといううわさもあります(笑)
まあ、軽口はこの辺にして、多読の効果はすでに学会でも発表されています。
実際に私は、出版社時代に古川氏の多読学会に招かれて行ったことがあります。
多読を実践している全国の英語教師の発表は非常に興味深いものでした。
そこで、具体的にどういった効果があるのかお話ししたいと思います。
多読とは、ある意味乱読とも速読とも言い換えることができます。
簡単な読み物を、とにかくたくさん量を読むことです。
ここで重要なのは、あくまでも「簡単」であることです。
途中で意味がわからなくて辞書を引いたり調べたりしなくていいレベル、ということです。
難解な単語や構文に邪魔されずに、純粋に話の内容を楽しみながらぐんぐん読み進めることができる、
そういうレベルの本をたくさん読むことが重要です。
これを続けることで、リスニング、リーディング力が上がります。
また、読む力や語彙が自然に増えていくことで、無理なくレベルアップすることができ、
いわゆる、「いつの間にか語彙力が増えていた、レベルが上がっていた」という
語学を徐々に習得していく楽しさを味わうことができるのです。
日本人がこれまで行ってきた学校英語の学習法は、多読ではなく精読です。
精読は、intensive readingと言います。
数百字のパッセージを制限時間内に読み、要旨を把握する。
そういう訓練ばかりずっとやってきました。
これは、語彙力や読解力、文法力を養うには良い方法です。
受験英語にはこれがつきもので、それは英検やTOEICといった資格試験対策も同じです。
このテクニックがある人は、読解問題(リーディングのパート)で高得点が取れるはずです。
実際に、私が中学・高校時代にやってきた勉強法がこれでした。
私は英語が好きでしたので、精読はさして苦になりませんでしたし、
student timesなどの記事を読む訓練をしたり、長文問題を解きまくったりするのが好きでした。
けれども、英語から脱落していく多くの日本人がつまづくのが、
この日本特有の「翻訳方式(translation method)」が原因でもあるのです。
このブログの読者のかたで、受験英語が得意だった、基本的に難しい読解問題を解くのが好き、
難解な語彙を覚えるのが好きだという人もいるでしょう。
そういう方は、多読をあまり必要としていないかもしれません。
なぜなら、難解な長文を数多く読みこなすという訓練が苦にならないからです。
興味のない分野であろうが、専門的な内容であろうが、ともかく長文にトライする。
知らない語彙やイディオムに出会えば、単語帳に書き込み覚える。
複雑な構文はまるごと暗記、何度も口に出してすらすら言える状態にする。
こういうことがさらりとできる人は、既に今の時点で中上級(TOEIC700点くらい)以上でしょう。
ここでは、初級学習者が無理なく楽しみながら英語力をアップさせるにはどういった方法がいいのか、
そこに絞ってお話をしたいと思います。
中上級以上の方は、スルーしていただいても結構です。
ペーパーバック(原書)を読むのは初級者にはおススメしないと書きました。
その理由は、モチベーションという、語学習得において最も大切なファクターを
失ってしまう危険性があるからです。
知らない単語が多すぎるとストーリーが理解できません。
それを無理して読み進めるのは大抵の人にとっては苦痛以外の何ものでもなく、
ここで挫折してしまう可能性が大きいのです。
楽して英語を身につけることは絶対にできませんが、
何も無理にしんどい思いをして、わざわざ遠回りする必要もありません。
効率よく、可能な範囲で進めていくのが一番良いのではないでしょうか。
そういった意味でも、この多読は非常に有効です。
具体的にどのように読み進めればいいのか、どんな本を選べばいいのかは、
今夜またアップします。
多読って大事
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