日本人が英語の発音で苦労する原因のひとつに、ローマ字の存在があると思います。
ローマ字は、アルファベットとは似て非なるものです。
アルファベットを使用してはいるけれど、英語ではない。
小学生の時に習うローマ字のせいで、日本人の頭の中に、
A ⇒ ア
I ⇒ イ
U ⇒ ウ
E ⇒ エ
O ⇒ オ
という構図がインプットされ、これがその先中学に上がった時にやってくる英語学習において
取り返しのつかない誤った概念となって植え付けられてしまうのです。
言うまでもありませんが、A=アなどではありません。
英語における“a”の音は数種類の発音があり、cat、make、water、など、
それぞれ違う発音なのです。
けれども、まだ脳味噌の柔らかい小学生時代に「A=ア」なんてやってしまうがために、
もう刷り込みのようにアルファベットがローマ字となってしまうんですね。
ほとんど条件反射といって良いのでは、というくらいに。
そもそも、ローマ字を習得する意味が私にはわかりません。
自分の名前をローマ字で書けるようにするなら、別に小学生時代にやらなくてもいいはずです。
普通に生活している小学生が、自分の名前をローマ字で書かなくてはいけないような
シチュエーションはめったにないはずだからです。
日本語をローマ字で書く必要性がどこにあるのでしょう?
テレビのことをterebiと書く機会などありませんし、
コーヒーをcouhiと書くこともないでしょう。
ローマ字が頭の中にあるがために、いつまでたっても
iPad
iPod
の区別がつかないのです。
どうしても、「A=ア」「O=オ」が脊髄反射のごとく表れ、
アイパッド、アイポッド、と発音してしまう日本人のなんと多いことか。
iPadは「アイパッド」ではありません。この“a”は、catの“a”と同じで、
以前も説明しましたが、名古屋方言の「ミャア」という音の後半部分と非常に似た母音です。
敢えて書くとすれば「アイピャアッド」となります。
そして、日本人が「アイパッド」と思っているほうが、iPodなのです。
この“o”の音は、hotやgotなどの“o”と同じで、日本語の「ア」に近い音です。
日本人が「アイパッド」と発音すると、まず十中八九北米人はiPodのことだと思います。
これは、視覚による影響が大きいと思います。
日本人は、聴覚よりも視覚に依存するタイプの学習者だと私は常々感じています。
耳で聞いて理解しても、スペルを見るとすぐにローマ字状態に引き戻されるのです。
ローマ字さえなければ、ここまで引きずられることはなかったのではないか、と思う今日この頃です。
ところで、日本人がローマ字に惑わされない例外的な単語があります。
それは、
what
body
God
cat
can
などです。
これらは、そのまま日本語として、
ワット(What’s your name? ⇒ワッチュアネーム)
バディ(everybody ⇒エブリバディ)
ガッド(Oh my God! ⇒オーマイガッ)
キャット
キャン
として定着しているからでしょう。
ローマ字に惑わされないよう、日頃から意識していくことが発音向上のためには重要です。
以上、ローマ字の功罪というタイトルなのに「功」のほうは一切書かずに終わります(苦笑)
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ローマ字の功罪
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