イングリッシュブートキャンプ:由美です。

全米オープンテニスが終わり、大坂なおみ選手が日本人として初の4大会制覇(グランドスラム)をなしとげ、世界中の話題をさらっています。

けれども話題の中心は、セリーナ・ウィリアムズ選手と審判の激しいやりとりと、観客のブーイングの中で行われた表彰式にあるようです。

国内でも話題となった、大坂選手の”I’m sorry.”という言葉の真意ですが、これについてアメリカのNBC放送のニュース番組、Todayに出演したご本人が話しています。

その模様を、解説していきたいと思います。

I’m sorryは謝罪なのか?

さて、英語ブロガーや英語のプロフェッショナルの中には、I’m sorry.は謝罪ではないと言っている人も結構いました。

実際、I’m sorry.は「残念です」という意味で使われる場合もあり、必ずしも謝罪を意味するわけではありません。

たとえば、不幸があった場合など、I’m sorry for your loss.(ご愁傷さまでございます)と言ったりします。

けれども私は、表彰式の様子を見ていて、これはどう考えてもやはり「ごめんなさい」と言っていると取るのが、妥当ではないかと思いました。

その時の様子を、こちらの記事で解説しています(全スクリプト・和訳付)

大坂なおみグランドスラム達成!全米テニス表彰式の英語インタビュー




チャンピオンとなった大坂選手ですが、ど真ん中に立つセリーナ選手に遠慮して、また会場のブーイングに耐え切れず涙していますね。

これは見ているこちらも辛くなってしまいます。

そんな大坂選手が、Todayで気持ちを語った動画がこちらです。





司会者:ゲストのナオミ・オオサカさんです。ナオミ、おめでとう。

ナオミ:ありがとう。

司会者:全米オープンが終わってどんな気分?テニスを知らない人からすると、突然現れた若い人が一躍スターになったみたいな感じかもしれないわ。まだ実感わかないかしら。

ナオミ:あの・・・トーク番組は初めてで・・・出演できて光栄です。そうですね、まだピンとこないというか、これから実感がわいてくると思います。

司会者:3年生の時の作文に、セリーナ・ウィリアムズがアイドルだと書いたんですってね。そんな相手と実際にコートで対戦するとなって、どうやって自分を奮い立たせたの?

ナオミ:幸運なことに一度マイアミで対戦してるんです。でも今回はグランドスラムだし、子供の頃にグランドスラムでの試合を見たことはあったけど、やっぱりいざコートに出るととても緊張しました。

司会者:目の前にして「うわっ、セリーナがいる!」と思った?それとも気持ちを切り替えた?

ナオミ:コートに向かう途中はドキドキしたけど、実際に出てしまえばセリーナであることを意識しなくなりました。

司会者:この2週間本当に素晴らしいプレーをしたと思うわ。でも、試合中、事件があったじゃない?っていうかそもそも、実際にコートにいて何が起きているかわかっていたの?セリーナと審判とのやりとりは聞こえてた?

ナオミ:あの時ちょうど後方に行って背中を向けていたから、何が起きてるかよくわからなかった。気が付いたら審判がペナルティーだと言っていて。それで混乱したんです。

司会者:そこで激しいブーイングが起きたでしょう?あれは審判に対してだったけど、何が起きてるかわからない状態で、あの時は観客に対してどう感じた?

ナオミ:そうですね、ちょっと悲しかった。ブーイングが私に向けられたものなのかわからなかったし。だけど、みんなの気持ちもわかるの。私もずっとセリーナのファンだったし、みんながどれだけセリーナに勝ってほしいと思ってるかわかるから。だからすごく気持ちが高ぶってしまって。

司会者:すごく感動的だったわよ。3歳の時から努力してきたことが実って、晴れ舞台に立って横には憧れの選手がいてみんな泣いてて。「ナオミ、やったね!」ってセリーナに言われてどんな気持ちだった?

ナオミ:すごく嬉しかったわ。私が泣いているのをセリーナも知っていたから話しかけてくれて。それが嬉しかった。

司会者:一番グッと来たのは、あなたが謝ったでしょう?一連の状況に対して。あれはどうして?

ナオミ:なんだろう・・・あの時誰もハッピーな感じじゃなかったから、みんなが望んでいた結末じゃなかったでしょう。それは私もわかっていたので。夢の中で私はすごい試合に勝ったんだって・・・とにかくあの時は気持ちが高ぶって、あの場では謝らなきゃいけない感じがしたの。

司会者:今振り返ってみて、今回の一連の論争に関して意見はある?審判の判断が正しいと思う?それともセリーナの主張が正しいと思う?

ナオミ:実はまだ全てを理解してるわけじゃないんです。あちこち移動で時間がなくて。だから意見を言える状態じゃないです。でもこれから全部見ようと思ってます。私にとってすごく重大なことだから何が起きたのか知りたいですし。

――― ここでナオミ選手のお母さんが映ります 

司会者:試合のあと、家族とはどんな話を?

ナオミ:両親は私のことを誇らしく思うと言ってくれています。母は凄く泣いていて、父は泣きませんが。父はクールガイだから(笑) 姉にも電話しました。

司会者:素敵なご家族ね。

とても冷静で、ユーモアのある大坂選手の受け応え

さて、ここで司会者がはっきり、あの時あなたは謝罪しましたね、どういう気持ちだったの、と聞いています(3分10秒あたり)。

それに対して大坂選手が、


I don’t know. I just felt like…everyone was sort of unhappy out there. And I knew that it wasn’t really like the ending that people wanted it to be. In my dreams, I won a very tough, competitive match. I just felt very emotional and I felt like I had to apologize.


と返しています。

apologizeは「謝罪する」という動詞です。

I felt like I had to apologize.「謝らなきゃいけない気がしました」と、はっきりI’m sorry.は謝罪だったことを認めています。

I (just) felt like…というのは、「~のような気がした」という意味で、会話でよく使う言い回しです。

It wasn’t really like the ending people wanted it to be.は「みんながそうあってほしいと望んでいたエンディングではなかった」、つまり、観客はみんなセリーナを応援していて、そのセリーナが負けるという結果は望まれていなかったという意味です。

In my dreams(夢の中では)以下のくだりは、これは大坂さんの本音かなと思うのですが、試合に勝った、それも憧れだった王者セリーナという凄い選手に私は勝ったんだ、やった~!と心の中で思っていた、ということではないでしょうか。

だけど現実は、みんながそれを望んでいない、だから喜びを表に出せない、なんだかよくわからなくなってここは謝るしかないと感じてしまった、ということだと思います。

このemotionalという形容詞ですが、感動的とか感極まるという意味にも取れますが(司会者はそう取ってる感じですね)、情緒不安定なという意味もあります。

大坂さんは後者の意味で言ったんじゃないでしょうか。

本来なら大きくガッツポーズでもしたいところなのに、それは夢の中での話で現実は違う、周りのアンハッピーな空気を読んでしまったというあたり、3歳からアメリカで育っている大坂さんですが、結構感覚が日本人っぽい気がします。

セリーナと審判の事件に関して感想を求められても、そこに乗ることはせずにうまくスルーしていいて、若いのにとても冷静だなと思いました。


I’m not really that 100 percent sure because I kind of haven’t really had time to look too much at the news.


not really 100 percent sureは「100%確かというわけではない」、つまり全てを把握しているわけではない、という意味。

I kind of haven’t really had time to…という言い回しですが、kind of は話し言葉でよく使われますが、「ちょっと」というニュアンスです。

断定するのを避けたいとき、クッションのように付けます。

意味は、I haven’t had time to look at the news.ということで、ニュースをまともに見る時間があんまりなくて、となりますね。


I’ve been going all over the place. I can’t really form an opinion. I want to watch everything and I want to know what happened. This is sort of the biggest thing that’s ever happened to me.


form an opinionは「意見を形成する」、つまり、意見を述べる。

sort of は kind of と同じで、「ちょっと」とか「多少」とかいう意味の口語です。

ナオミさんの受け答えの中でもよく、sort of と kind of が出てきますね。

sort of the biggest thing that’s ever happened to me は「私に起った中で最も大きなできごとのようなもの」、つまりテニス人生でこんなすごいことは今までなかった、と言っているわけです。

セリーナと審判どっちが正しいかとか、今の自分にはまだ答えられない、ちゃんと何があったか理解してからでないと、とうまくかわしています。

最後の、お父さんがcool guyだという発言で、スタジオもほっこりしていますね。

大坂さんの誠実で可愛らしい人柄が伝わってきます。

この番組を見て、大坂さんのファンになった人、結構いるんじゃないでしょうか。


大坂さんの初TV出演、いかがでしたか?

緊張していると言っていますが、とてもナチュラルな感じですね。

こういったトーク番組は、生の英語を聞くまたとない機会です。

今回のニュースで、大坂さんの発言に興味を持たれた方は、せっかくなのでぜひ英語にも興味を持ってみてください。

世界が広がりますよ(^O^)


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