日本人が英語(またはヨーロッパ言語)を習得するうえで苦労することのひとつに、冠詞があります。
冠詞とは、“the”や“a”のことを言います。
これら冠詞は日本語には存在しないために、日本人が理解するのに苦労するのです。
本来定冠詞(the)を使うべきところを不定冠詞(a)を使ってしまった、
また、無冠詞(何もつかない)のところに定冠詞をつけてしまった。
この手の間違いは日本人なら何度も経験していることでしょう。
私は、冠詞についてはそこまで気にする必要はないと思っています。
もちろん、最低限のイディオムや慣用表現は覚えておくべきだと思いますが、
それ以外で「これは定冠詞、不定冠詞どっちだったかな・・・」と悩んだ場合、
気にせず適当に話せばいいと思います。
ここで気に病むあまり、フルエンシー(流暢さ)が落ちたりするよりも、
気にせずスラスラと話したほうが会話力もアップしますし、
何より、思ったことが言えないというストレスを感じることがありません。
基本コンセプトは、定冠詞は特定のもの、限定されたものを指すのに対し、
不定冠詞はあくまでも「たくさんある中のひとつ」という意味合いで使います。
例を挙げてみましょう。
I saw a man talking to John.
Do you know the man talking to John?
最初の文章は、「ジョンと話しこんでいる男性を見た」ということで、
あくまでもジョンと話していたことに焦点があり、その男性が誰であるか特定するわけではありません。
とりあえず男の人が一人いて、その人がジョンと話していた。
ある一人の男がジョンと話をしていた、というニュアンスです。
それに対し、次の文章は「ジョンと話をしている男の人を知っていますか?」という意味で、
たくさんいる男性の中の一人ではなく、ジョンと話しているその男性、
というふうに男性を限定しています。
このイメージを基本にすればいいと思います。
それから、数えられない名詞(不可算名詞)には不定冠詞は付かないのですが、
これも状況によってはそうとも限りません。
たとえば、
Get me a beer.
という時の、beerには不定冠詞がついていますね。
これは、ビールをメニューのひとつとして扱っているのです。
ビールひとつ持ってきて、ということですね。
レストランの店員が、Two beers and three coffees(ビール2つにコーヒー3つですね)、
と言ったりするのもこれと同じ概念から来ています。
また、固有名詞は無冠詞が基本ですが、
かつて有名なテレビコマーシャルで、
It’s a Sony.
というキャッチコピーがありました。
ソニーは企業名なので固有名詞ですから、本来“a”が付くのは間違いです。
けれども、この場合は「ソニーの一商品」というニュアンスがあるのです。
また、本来付くべきはずのない不定冠詞が付くことで、一瞬不自然な感じが耳に残る、
という宣伝効果として非常に有効な手でもあるわけです。
とはいえ日本のCMですから、これを不自然な感じと捉えることのできる人は限られていたとは思いますが。
冠詞は、日本語の「てにをは」と同じように外国人には難しいものですが、
あまり構えず、こういう時は定冠詞なんだ、こういう時は何も付かないんだ、
というふうにその都度覚えて行くといいでしょう。
以上、冠詞のお話でした。
ダウン冠詞ってややこしい~音譜
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