先日、香取慎吾君が司会のスマステーションという番組で、
洋楽一発屋ランキングというのをやっていました。
懐かしの洋楽がたくさん流れたのですが、一発屋扱いしているのは日本だけで、
世界的には不動の地位を築いているスターバンドなんかもいて、
ちょっと苦笑いなんていうのもありましたが、なかなか面白い企画でした。
ところで、一発屋というと私が一番に思い浮かぶのがこの曲。

Charleneの“I’ve Never Been To Me”

一発屋は英語では“One Hit Wonder”と言います。
シャーリーンは、まさにOne Hit Wonderとして知られるシンガーです。
この、I’ve Never Been To Meは「愛はかげろうのように」という邦題で、日本ではよくBGMに使われます。
私がこの曲を初めて知ったきっかけは、ある結婚披露宴でした。
あの時の衝撃は、いまだに忘れることができません。
今から十数年前のことです。
知人の披露宴で、この曲がヘビーローテーションでかかっていたのです。
新郎新婦登場からキャンドル点火、またお色直しに退場まで、ずっとこの曲。
いやはや、絶句とはまさにこのことです。
なぜ絶句したかですって?
この曲の歌詞の内容、ご存知ですか?

Hey lady, you lady, cursing at your life
You’re a discontented mother and a regimented wife
I’ve no doubt you dream about the things you’ll never do
But, I wish someone had talked to me
Like I wanna talk to you…..
Oh, I’ve been to Georgia and California and anywhere I could run
I took the hand of a preacher man and we made love in the sun
But I ran out of places and friendly faces because I had to be free
I’ve been to paradise but I’ve never been to me
Please lady, please lady, don’t just walk away
‘Cause I have this need to tell you why I’m all alone today
I can see so much of me still living in your eyes
Won’t you share a part of a weary heart that has lived million lies….
Oh, I’ve been to Niece and the Isle of Greece while I’ve sipped champagne on a yacht
I’ve moved like Harlow in Monte Carlo and showed ‘em what I’ve got
I’ve been undressed by kings and I’ve seen some things that a woman ain’t supposed to see
I’ve been to paradise, but I’ve never been to me
<台詞>
Hey, you know what paradise is?
It’s a lie, a fantasy we create about people and places as we’d like them to be
But you know what truth is?
It’s that little baby you’re holding, it’s that man you fought with this morning
The same one you’re going to make love with tonight
That’s truth, that’s love……
Sometimes I’ve been to crying for unborn children that might have made me complete
But I took the sweet life, I never knew I’d be bitter from the sweet
I’ve spent my life exploring the subtle whoring that costs too much to be free
Hey lady……
I’ve been to paradise, (I’ve been to paradise)
But I’ve never been to me
(I’ve been to Georgia and California, and anywhere I could run)
I’ve been to paradise, never been to me
(I’ve been to Neice and the isle of Greece while I’ve sipped champagne on a yacht)
I’ve been to paradise, never been to me
(I’ve been to cryin’ for unborn children that might have made me complete)
I’ve been to paradise, never been to me
(I’ve been to Georgia and California, and anywhere I could run)
I’ve been to paradise, never been to me

対訳:Yumi

ねえ、貴女、人生を呪っているそこの貴女
不満だらけの母親業、がんじがらめの妻という人生
したくてもできないことを夢見ているのでしょうね
ああ、あなたに今私がこうして話しかけるように
あの時の私にも誰かが話しかけてくれたらよかったのに
ジョージアやカリフォルニア、どこにでも逃げたわ
牧師を誘惑して、昼下がりに太陽のもとで愛し合ったこともあった
でもね、自由になりたかったのよ、だから大切な人たちから逃げたの
私は楽園を知っているけれど、いまだに本当の自分が見えない
お願い、そこの貴女、聞いてちょうだい、逃げないで
私が今こんな風に全てを失ってしまったわけを、貴女に教えてあげたいのよ
貴女はまるであの頃の私
偽りだらけの人生で疲れ切った私の気持ちを、あなたにもわかってもらいたいの
ニースにもギリシャの島にも行ったわ、ヨットでは優雅にシャンパンを飲んだわ
モンテカルロのジーン・ハーロウ気取りでね いい気なものよ
まるで裸の王様、普通の女では経験できないようなこともいっぱいしてきたわ
そう、パラダイスみたいな人生、だけど全ては偽物
<台詞>
ねえ、パラダイスってなんだと思う?
それは偽り、こうありたい、こんな場所に行きたいと私たちが作り上げる幻想よ
じゃあ真実とは何か
それは今あなたが抱いている赤ちゃん、今朝夫婦げんかしたあなたの夫、
今夜愛し合う夫、愛、それこそが真実なの
時々、生まれてくることのなかったお腹の子のことを思い出しては涙にくれるの
でも私は甘い誘惑に負けたの、誘惑の後に苦い人生が待っているなんて知らずに
甘い蜜を求めて遊び暮らした人生のツケが、こうして回ってきたのね
パラダイスを見ることはできたけど、私自身を見失ってしまったのよ

とまあ、こんな内容の歌が、披露宴の間中ずっとかかっているわけですよ。
これから結婚して、新たな人生に向けて希望に満ちた夫婦の門出にはまるでふさわしくない内容です。
これをテーマソングにするくらいなら、
新郎新婦の友人が「3年目の浮気」とか「別れても好きな人」とか歌ってもおかしくないかも、
とさえ思わせるほどに強烈なインパクトのある曲です。

何しろ、いきなり“cursing at your life(人生を呪う)”ときますからね、耳を疑いましたよ(苦笑)
思うに、この曲の持つメロディラインの美しさと、
シャーリーンの癒し系な歌声に、みんなすっかり騙されてしまったのかなと。
他にも、この手のパターンはいっぱいありますが、また別の機会に取り上げたいと思います。

ともあれ、もしもあなたの知り合いで、披露宴にこの曲を選ぼうとしている人がいたら、
迷わず止めてあげましょう。

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