久しぶりに、さばの湯に行ってきました。
Life is beautiful
さばの湯は、世田谷区経堂にある、昔懐かし銭湯をモチーフにした居酒屋です。
オーナーの須田泰成さんは、国内屈指のコメディ研究家であり、放送作家であり、
あの『モンティ・パイソン』の研究家として第一人者でもあります。
スパムメールのスパムという言葉は、モンティ・パイソンの有名なコントから来ています。
コントが見たいかたはこちらへ⇒スパムメールの語源
さて、このさばの湯で、松尾貴史さんの朗読会があり、さっそく行ってきました。
読んでもらいたい本を持参してきた人もちらほらいました。
Life is beautiful
以前、モンティ・パイソン関西風味というイベントがあって、
モンパイのコントを関西弁で朗読する、というとても面白い試みでした。
それが評判を呼び、今回は赤坂レッドシアターで、「モンティ・パイソン宣言」として舞台となりました。
残念ながら、私は日程が折り合わず行けませんでしたが。
というわけで、今回はそのリベンジでもあったわけです。
モンティ・パイソンは言わずと知れたイギリスの伝説的なコメディーショウです。
イギリス独特のブラックユーモアや、さまざまな階層の人たち、方言を取り入れたコントは、
日本で言うならさながら落語の滑稽話のようで、これがまた関西弁とマッチするんですね。
今回は、須田さんと、作家の東野ひろあきさん、松尾さんの公開対談まであって得した気分でした。
Life is beautiful
朗読会&対談の後は、常連客や知人同士でゆるゆるとした飲み会に流れました(いつものパターンです)。
さばの湯特製、さばカレーをつまみつつ、松尾さんと夜中まで話し込んでしまいました。
今、NHKの大河に出ている彼は、ドラマ収録でのハプニング等、面白いお話を披露してくれて、
思わぬ人の思いもかけない人間性が垣間見えて興味深かったです。
Life is beautiful
ところで、ここでも話題となったのが、関西という言葉の定義でした。
関西、という言葉は新しいんですね。
というのも、つい最近(19世紀末)まで、都は京都にあったので、京都周辺(つまり今で言う関西)は
都であるわけです。
それに対して、関所を越えて東側が「関東」と呼ばれていたわけで、
関東という言葉は古くからありましたが、関西という言葉はつい最近できたものなのです。
また、関西は、近畿地方(二府三県)を指すこともあれば、近畿より西すべてを指す場合もある。
つまり、山口県も鹿児島も関西と言っても間違いではないのだそうです。
で、関西弁の特徴として、「~はん」という敬称がありますね。
コメディアンのほっしゃんなんかもそうですが、名前の語尾にこういった敬称が付くのは、
関西弁の特徴だと言えます。
まっちゃん、まっつん、田中はん、などなど。
で、この「~はん」という敬称ですが、これは「さん」の次に丁寧なんですよ。
上方言葉で「さん」は最上級の敬称です。
14代将軍徳川家茂に嫁いだ孝明天皇の妹の和宮は、将軍のことを「上さん」と呼んでいましたが、
京都(つまり関西弁)では、最上級が「さん」だからなのです。
「はん」は「さん」よりも少し丁寧い度合いが下がりますが、それでも目上の人や年配者に使います。
たとえば、お父さんはおとうはん、おかあさんはおかあはん、となります。
関西の男子が母親のことを「おかん」と呼びますが、あれは恐らくおかあはんが短縮されたものでしょう。
ちなみに、松尾さんの話の中に、「さん」が「はん」にならない場合というのが出てきました。
「はん」は一種のリダクションなんですね、だから、「さん」の“S”の音に移る口内の動きが、
めんどくさいと感じた場合に起きる。
具体的には、語尾が「い」と「ん」で終わる場合は、すでに口の奥が閉まっているので、
スムーズに「さ」の音に移行できるためリダクションは起きない。
「はん」になるのは、語尾が「あ」「う」「え」「お」の母音で終わる場合なのです。
お茶のCMで有名な伊右衛門は、伊右衛門はんと呼んでいますがあれは間違い。
伊右衛門さんとなるのが正しいのです。
私はこの説明を聞いて、長年抱いていた疑問が氷解して嬉しかったですね。
私は関西弁ネイティブなので、「伊右衛門はん」がおかしいというか不自然なのはわかっていましたが、
その理由が説明できませんでした。
これでスッキリです(笑)
ちなみに、「はん」よりさらにカジュアルなのが「やん」です。
私の親は、自分の両親のことを「おとうはん」「おかはん(おかあはんの略)」と呼び、
兄姉のことを、「ねえやん」「にいやん」と呼んでいます。
但し、義兄や義姉のことは、「にいさん」「ねえさん」と呼ぶあたりが、
敬語の絶妙な距離感だと思います。
もうひとつ。
浪花言葉で、「こいさん」「いとさん」というのがありますね。
谷崎の世界に突入するかのようですが、私の年代はこの敬称を実際に使っていた最後の世代だと思います。
大阪出身者でも、アラサ―世代は恐らく耳にしたことがないのではないでしょうか。
こいさん(こいちゃん)とは、商家の末娘を指します。
いとさん(とうさん)は、長女(跡取り娘)のこと。
あそこの呉服屋のとうさんが、というように名前で呼ばずこの独特の愛称で呼ぶんですね。
とうさんがとうはんにならないのは、父親(おとうはん)と区別するためでしょう。
以上、関西弁口座でした。
☆おまけ☆
「モンティ・パイソン関西風味スケッチ集」が、10月1日に発売されます。
興味のある人は、ぜひぜひCheck it out!!
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