9月11日が終わろうとしています。
9年前、アメリカで同時多発テロが起こりました。
ツインタワー(World Trade Center)に旅客機が突っ込むというあの衝撃的な映像は、
いまだに忘れることができません。
当時私の家には、テレビがありませんでした。
テレビなどなくても痛痒を感じることはなかったからです。
もはや見る気もしないトレンディードラマに、ただ雑談を繰り広げるだけのバラエティー番組、
夕方のニュースはいつの間にかワイドショー化していて、やれデパ地下特集だ、お得な温泉宿だ、
行列のできるラーメン屋だとくだらない情報ばかりが垂れ流れている。
だから、テレビが故障した時、もうこのままなくてもいいやと買い変えることをしなかったのです。
ところが、このテロ事件が起きて私の気持ちは変わりました。
やはり、リアルタイムでニュースを見るにはテレビがないとまずい。
そう思ったのです。
今は、ブロードバンドが当たり前なので、どんな映像もほぼリアルタイムに見ることができます。
けれども当時はまだダイアルアップ回線だったのです。
若い方は「ダイアルアップ?何それ?」と思うかもしれません。
電話回線を使って、インターネットにつなぐのです。
ピ~~~ヒョ~~~ロロロロというファックスに繋がった時のような音がして、
オンライン状態になるのにしばらく時間がかかり、メールチェックでさえそこそこ時間がかかる、
あまつさえ動画なんぞを見ようものなら、数十秒の映像を見るのに数十分かかるといったありさまです。
また、1時間いくらというネット料金体系でしたので、今みたいに繋ぎっぱなしなんてありえません。
それゆえ、9.11のテロの時、私はあの衝撃的な映像を写真でしか見ることがかないませんでした。
あの時、やはりテレビは必要だ・・・と電気屋さんに行ったことを今でもはっきり覚えています。
9.11のことを日本語では「きゅういちいち」と言いますが、
英語では、September eleventh、または、Nine elevenと言います。
このテロで、私の友人は親戚を亡くしました。
そして、この日を境に、アメリカ人の精神に大きな変化が起きたように思います。
かつて私は洋書出版社に勤めていました。
その時、いわゆる英語教材のPRをしていたのですが、
ある私立の高校教諭(アメリカ人男性)から、凄まじいクレームが来たのです。
それは、教材の中にあるアクティビティーに関するものでした。
そのチャプターは、比較級や最上級を扱ったものでした。
アクティビティーに、Which is the tallest building?というのがありました。
最上級の練習をするためのアクティビティーですね。
で、その選択肢にあったのが、
Sears Tower, Eiffle Tower, and World Trade Center
だったのです。そして、横にはWTCのイラストが描かれていました。
けんもほろろに電話をしてきた初老の教諭は、
あの忌まわしいテロを思い起こさせる問題内容に、おまけにイラストまである、
おたくはいったいどういう神経をしているのかね、
うちの生徒たちがこれを見たら、どれほど気を害するか、想像できないのかね、
と言ってきました。
もちろん、この、生徒云々は彼のexcuseだろうと思います。
NYのテロと深い関係を持っている高校生が、日本のいち地方都市にいるとは思えないからです。
生徒を引き合いに出して文句を言ってきたけれど、
実際のところ、傷ついた(もしくは気分を害した)のは彼自身だったに違いありません。
無神経なアクティビティーの内容に、彼のトラウマは爆発したのでしょう。
当然のことながら、書籍というのは、すぐには改定されません。
されたとしても、改定前の版も市場に出回っているのであって、
それを回収することは実質的には不可能です。
そう説明しても、なかなか納得してくれませんでした。
この手のクレームを欧米人が言ってくることは、非常に珍しいのです。
そういう理不尽なことを言ってくるのは
大抵が年配の日本人男性客と相場は決まっているからです。
それほどまでに、この9.11テロというのは、アメリカ人のメンタリティーを歪めてしまった。
その事実に、非常にショックを受けたのです。
テロではありませんが、阪神淡路大震災の被害にあい、いまだに地震がトラウマになっている知人もいます。
大きなショックは、人間の心に深い傷跡を残す。
そんなことを考えた1日でした。
テロで命を落とした多くの方のご冥福をお祈りします。
世界中の人たちに平和が訪れますように虹

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