イングリッシュブートキャンプ:由美です。
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黒人霊歌、という言い方をすると、なんだかピンとこない人もいるでしょう。

でも、「ゴスペル」とか「ソウルミュージック」と言えば、ああ・・・と思う人も多いのでは?

そんな黒人霊歌の代表曲、「聖者の行進」のお話です。

まずは、この方、ルイ・アームストロングの、有名なパフォーマンスをどうぞ。

これは、誰でも一度は聞いたことのある、スタンダードナンバーでしょう。

“When The Saints Go Marchin’ In”というタイトルですが、邦題は、
「聖者の行進」とか、「聖者が町にやってくる」となっているんですね。
で、昔、私がまだ中学生くらいだった頃、テレビで誰かが、この訳はおかしい、と言っていて、
それが今でも、大変印象に残っているんです。
聖者が町にやってくる、というのは明らかにおかしい。
その人は、そんなニュアンスのことを、言っていました。

そこで、この歌の内容を、見てみたいと思います。

Oh, when the saints go marchin’ in
Oh, when the saints go marchin’ in
Lord how I want to be in that number
When the saints go marchin’ in

ここでポイントとなるのが、go marchin’ in のくだりです。
これを、「町にやってくる」と訳したのは、確かにまずいかなと思いますね。
だってどこにも、「町」なんて出てきません。
それと、この歌詞には、続きがあるんです。

And when the sun begins to shine
And when the sun begins to shine
Lord, how I want to be in that number
When the sun begins to shine

Oh, when the trumpet sounds its call
Oh, when the trumpet sounds its call
Lord, how I want to be in that number
When the trumpet sounds its call

Some say this world of trouble,
Is the only one we need,
But I’m waiting for that morning,
When the new world is revealed.

黒人霊歌とは、まだ搾取されていた奴隷時代の黒人たちが、
辛い強制労働の中、救いを求めて歌ったものです。
この曲にも、繰り返し、“Lord” -ああ、神様、というフレーズが出てきます。

聖者が行進していく時、ああ、聖者たちが行進していく時、
神様どうか、私もそこに加えてください。
聖者が天国に向かって行進していく、その時に。

そうなんです、これ、町にやってくるのではなく、天国に行進していくんですよ。
これは、お葬式の時にかかる音楽としても、有名ですよね。

亡くなった人の魂が、天国に向かって行進していくのが見える。
太陽が輝く時。
トランペットの音(裁きの音)が鳴り響く時。
私はそこに加わりたいのです。
誰しもが、乱世とはそういうものだと言うけれど、
私は新しい世界が開ける、その朝を待っているのです。

という、心の叫びですね。
そもそも、go marchin’ in というのは、どこかに行ってしまうのであって、
やってくるのではありません。
そのあたりも、誤訳と言えるかもしれません。

以上、聖者の行進、でしたo(^-^)o

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