最近しみじみ思うのが、若い世代の日本人がどんどん精神的鎖国化していっているということです。これを、私は日本人のドメ化(ドメ=ドメスティック)と呼んでいますが、たとえば、私の世代にとって映画と言えばイコール洋画を指します。映画を見に行く、と言ったときそれはつまりハリウッド映画だったり海外映画のことを指すわけで、邦画ならあえて「邦画」と言います。ところが、最近の若者は洋画をほとんど見なくなっています。
映画とは名ばかりの、2時間ドラマの延長か人気ドラマのスピンアウトしか見ない、音楽もJ POPしか聴かない。そういう人たちがどんどん増えていて、なんだかちょっと不安になってしまいます。若いころからそんなに閉鎖的でどうするのでしょう?そう思っていた時、ある興味深い記事に出会いました。フランス人から見た日本を書いた、「日本の良さが若者をダメにする」という記事です。
この記事自体ももちろん興味深いのですが、それ以上にうならせてくれるのが、これに関して書いた海外ニートさんのブログ内容です。「お客様にとってこれほど快適な国は世界中どこを探しても日本しかない」という指摘には、なるほどと思いました。日本生まれのフランス人は、すでに日本人社会という枠から外れています。教育も、インターナショナルスクールで受け、たとえ日本語が話せたとしても見た目が白人なので外国人扱い。
こういう友人を、私は何人か知っています。彼らは、その時々の都合で外国人と日本人を演じ分けています。わざとではなく、無意識にそうしているのです。パスポートも2つ持っている人がほとんど。そういう人たちにとって、日本は治安がよく、なんでも手に入る便利で住みやすい国、となります。けれども、彼らが「外国人であることのメリット」を活かせる状況でなくなった瞬間、みんな母国に帰ってしまうのです。そういう人たちを何十人となく見てきました。
日本は確かに便利で住みやすい国です。特に、東京などの都会に住んでいると、それを痛感します。世界中のブランドというブランドがここに集まっている。どんな国の料理だって食べられる。普通に暮らしている分には困ることが何もありません。けれども、この状態がこの先20年、30年後も続くかというとそれはあり得ない。そのことに、みんな気づかない、または気づかないふりをしています。
日本の年金制度は崩壊しています。私の親世代(昭和ひとけた生まれ)の人たちは、ひと月に30万とか、お給料と同じくらいの額を貰っていますが、そのほんのちょっと下世代の私の叔父は、父より高収入だったにも関わらずその半分ももらえていません。そしてその下になるともっともらえなくなっている。私の世代が定年を迎えるころは、小遣い程度の額しかもらえなくなるでしょう。そうなったとき、日本人は今と同じ生活水準を保つことができなくなります。
今の若い世代は、親や祖父母のサポートで高い生活水準を享受しています。2世帯住宅もそうですが、夫婦の収入では買えない贅沢品(車や子どもにかけるブランド品、旅行費用)を、親の年金からねん出してもらっています。また、祖父母たちはそうすることで可愛い孫に会えるし子供に恩を売ることができる、ウィンウィンの関係なのでしょう。けれども、これはもうすぐ崩壊する年金制度(もうすでに崩壊しているとも言えますが)により不可能となるわけです。
日本の将来を考えたとき、今のままではいけないことはみんなわかっているのにアクションを起こさない。日本生まれ日本育ちのフランス人は、外国人、つまりお客様として日本に住む分にはいいでしょうけれど、日本がいよいよその良さを手放さなくてはいけなくなった時、スタコラサッサとフランスに戻るでしょう。フランス人だけではありません。日本国籍を持つほとんどの外国人は、当然ながら本国の国籍も持っているので簡単に日本から出て行くことができます。
日本が住みやすい、というのは圧倒的に男性目線だとも言えます。実際、欧米から日本にやってきて永住する人はほとんどが男性です。彼らにしてみれば、お客様として崇めたてまつってもらえるうえ、母国ではモテナイ君でも白人男性というだけで女性にちやほやされる。こんなパラダイスは他にはありません。ところが、女性はどうかというと、私の知り合いの欧米人女性は9割以上が1年未満で帰国してしまいました。理由はというと、日本は住みにくい、よく日本の女性は文句言わずに我慢してるわね!ということです。
日本に来て初めて怖い思いをした、というアメリカはNY出身の女性。地下鉄に乗ると毎日のように痴漢にあう、夜居酒屋で飲んでいるとリーマンから絡まれる、「How much?」と言われた、などなど。彼女たちは、日本人が危ないと信じて疑わないNYやロサンジェルスなどの出身ですが、日本に来て初めて危険な目にあったと言います。「日本は礼節を重んじる国」「日本人はみな親切」という幻想を抱いてやってきた彼女たちは、裏切られた思いで母国に帰っていきます。
日本は本当に住みやすい国なのでしょうか。
こんなにも豊かな国で、数分に一人自殺者が出ているのに?
今回、海外ニートさんのブログを読んで、そんなことをつらつらと考えてしまいました。そして、若い人にもっと外に目を向けてほしいと心から思いました。今は21世紀です。鎖国時代はとっくに終わっています。なんでも手に入る便利な国、ニッポン。それが永遠に続くと本当に思いますか?あなたが生きている間はもつかもしれません。でも、あなたの子どもや孫の時代はどうでしょう?
外に出てみて初めてわかるということがあります。
特に若い人には、海外に出てもらいたいですね。
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