イングリッシュブートキャンプ:由美です。
★“外国人=態度が大きい”の嘘
英語関係の仕事を長くしていると、英語コンプレックスと言うか、外国人コンプレックスの人と、
一緒になることが、ごくたまにあるんですね。
外国人と話すのが苦手、という人は日本では珍しくないかもしれません。
そうなってしまう理由のひとつに、外国人と話すと緊張する、というのがあると思います。
決して、普段から人と話すのが苦手なわけではなく、むしろそういう人は性格的には大らかで、
間違ってもシャイという部類に入るような、タイプの人ではなかったりします。
ところが、こと相手が英語ネイティブだと、妙に緊張して固くなってしまう。
なぜでしょう?
それは、英語ネイティブの持つ、威圧感だったり、自身に満ち溢れた雰囲気のせいで、
ただでさえ小柄な日本人は、肉体も声も大きなネイティブから、上から大柄に話される気分を味わう。
ということではないか、と昔は思っていました。
実際、欧米人のイメージって、態度が大きいと思っている人、いませんか?
こういう話をすると、「ああ、わかるわ~それ!」という人が、少なからずいるのではないでしょうか。
けれども果たして、英語ネイティブは態度が横柄なのでしょうか。
本当にそうですか?
よく思い返してみてください。
それって、相手の話し方や雰囲気だけで、そう思ってはいませんか?
私は以前から、海外スターのインタビューを見るたびに、なんでこんなおかしな吹き替えなんだろう、
と常々不思議に(というよりは、不愉快に)、思っていました。
英語にかぶせるように、声優が吹き替えする場合もありますが、字幕の場合もあります。
どちらも、「なんでそんな日本語訳なの?」というような、高飛車な感じなんですよ。
そしたら、最近読んだヤマザキマリさんのエッセーに、まったく同じことが書かれていて、
ああ、私だけじゃなかったんだ!と、嬉しくなりました。
★海外スターの吹き替えは、なぜドSっぽい?
ヤマザキマリさんといえば、あの大ヒット漫画で映画化もされた「テルマエ・ロマエ」の作者です。
17歳からイタリアに留学、その後も人生の大半を海外で過ごし、現在はイタリア人の夫と、
シカゴに暮らしている、大人気漫画家さんです。
この方、漫画以外にもエッセーをたくさん書いていて、どれも面白いです。
グローバルな生き方をしている人の、クールな視点が読めるので、おススメです。
で、今回私が読んだ、「望遠ニッポン見聞録」に、こういう一説がありました。
“子供の頃、私はテレビでインタビュー等を受けている外国人のしゃべり方が一様に横柄なのに、いつもある種の違和感を覚えていた”
“例えば有名な俳優のインタビューなんかはこんな感じとなっている・・・「もっと答えやすい質問をしてくれないかな?うん、そうだね。それならいい。ありがとう。つまり僕がどうしてこの世界に興味を持ったかってことだろ?」”
“女優の場合もそうだ。「もっと答えやすい質問にしてくれないかしら?」”
・・・というように、なぜ翻訳がこうも高飛車なのか、おかしいじゃないかとヤマザキ氏は言う。
で、彼女は、イタリア語を話すと、「ただでさえ低い声がもっと低くなって怖い」と、言われるのだそう。
ああ、やっぱりね、とまたここでも膝を打ちましたよ。
海外スター(ほとんどが欧米人)の、インタビューの日本語訳が、妙にドSっぽいのは、
その人が話している英語(またはほかの言語)が、そういうニュアンスだからでは、決してない。
実際は、「もう少し答えやすい質問にしてもらえると、助かるんですが」と言っているのに、
やたらめったらカジュアルな口調に、わざと変えられていることが、多いんですよ。
★原因は発声の違いにある
欧米人、特に英語ネイティブが偉そうに感じるのは、発声の違いから来るものなんです。
日本人をはじめ、アジア人は総じて、口発声なんですね。
胸式呼吸で、口先で話すため、喉の奥から声が響く感じが、ほとんどない。
舞台俳優さんなんかは、喉発声を訓練しているので、声が響く人が多いですが。
で、そういう人って、普通に話しているだけなのに、態度が大きいように思われがちです。
喉の奥から、横隔膜あたりから響いてくる声は、普段そういった発声をしない私たち日本人には、
なんとなく威圧感がある、高飛車な感じがするのかもしれません。
逆に、欧米人のアジア人(日本人含む)に対するイメージは、口先でもにょもにょしゃべるというもので、
有名なエピソードに、丹波哲郎がゲスト出演した、映画「007シリーズ」があります。
これは、生前丹波氏がテレビで言っていたことですが、丹波さんは英語が話せたにも関わらず、
監督から吹き替えにすると言われ、納得がいかず理由を聞いたそうなんです。
すると、返ってきた答えはこうでした。
「アジア人男性は、もっと声が細くて高いはず。
あなたの声は、低くてアジア人っぽくないから、ボンド(主役:ジェームズ・ボンド)と被ってしまう。
他のアジア人っぽい声の俳優に、吹き替えをしてもらう」
欧米人から見たアジア人のイメージは、固定化されていて、とても驚いたと言っていました。
実際、丹波さんのセリフが、吹き替えになったのかどうかは、見てないのでわかりませんが。
でもこれは、日本人が欧米人に対して抱く印象と、ある意味真逆と言えるでしょう。
奇しくも、欧米人のほうは、日本人の声質にまで言及していているところが、興味深いです。
ヤマザキさんが、青春時代のほとんどを過ごしたイタリアも、喉発声で話す文化圏です。
イタリアオペラ、ベルカント唱法に象徴されるように、喉の奥、お腹から発声するイメージですね。
なので、イタリア人=大げさ、うるさい、という印象を持つ人も、多いのではないでしょうか。
発声や話し方、声の大きさはそのまま、その国のイメージを作るんですね。
英語を話すときは、喉発声を心がけましょう。
そうすると、そのうちあなたも、「なんか態度が横柄」だと、思われるようになるかもしれません(笑)
日本では得することはあまりなさそうですが、英語習得には、有利になりますよ(^m^ )クスッ
★英語は発声と音が命
喉発声ってなに?と思ったあなた。
英語を習得するうえで、喉発声は基本ですよ。
『Yumiの脱カタカナ英語マニュアル』は、英語の基本発声である喉の開き方から、
リエゾンやリダクションまで、段階を踏みながら習得できるように、まとめられています。
特に、一番重要な喉発声と、日本人が苦手な母音については、Yumiが動画で解説しています。
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それすごくわかります(笑)
日本語吹き替えを見たあとに字幕で見た時や、ときどき吹き替える直前の本人の声が入るとあれっ吹き替えと印象が全然違うと感じる事が多いです。
時には少し悪意があるというかイメージ操作してるでしょってくらいやたらチャラい言い方に変えている事があるんですよね。実際はいたって普通のテンションで話してるのに。
わたしは小さい頃から声がでかいとかうるさいって言われてました。
もう少し小さい声で話してくれってお願いされたほどで・・・。
日本では、声が通るとか低いって悪いイメージしかないですよね。
だから、いつの間にか小さい声で話す癖ついてます(笑)
mimiさん
そうそう、なんか妙にチャラい感じに吹き替えしてますよね(^ ^;)
軽~い感じと言いますか。
お年寄りとかは別として、若者のインタビューの時とか、
意図的にそうしているように思います。
私も、小さいころから声が大きかったです。
内緒話ができないタイプですね~(笑)
なかなか興味深い今回のトピックでしたね。
私もインタビューの吹き替えは、横柄と言おうか、高飛車と言おうか、偉そうだなと思っていました。由美さんみたいに分析したことはないので、今日の記事に納得しました。
ちなみに私の英語は、可愛いいと言われたことがあります。(笑) たぶん、たどたどしく、変な英語なんでしょう。
ヤマザキさんも興味深い方ですね。テレビで歌舞伎役者さんとトークしていた番組を見たことがあって、関心を持ちました。本の紹介ありがとうございます。いずれ、読んでみますね。♪
kariさん
これは昔から思っていたことだったんですよ~
で、ヤマザキさんのエッセーに同じことが書かれていて、「そうそう!」と嬉しくなりました。
ヤマザキさんは、なんと日本人で日本語のインタビューを受けたにもかかわらず、
文体を変えられて抗議したことがあるそうです。
雑誌のインタビューなんかも、編集者が意図的に言葉づかいを操作するんですね。
怖いなぁと思いました。
低い声で堂々と話すと、日本では偉そうに思われるようです(毒)
記事を読んで、アメリカの青春ドラマ「ビバリーヒルズ高校白書」のパロディ芸で人気だった吉本のなだぎ武と友近を思い出しました。先生、ご存知ですか?(笑)ディランとキャサリンのキャラをかなり誇張した日本語吹き替え風にしたコントで人気がありました。欧米人からみたアジア人の固定イメージと同様に、「日本人からみた欧米の若者のイメージは、みんな自由でフレンドリー」という固定観念が日本人に強いから、彼らの大げさな演技が受けたんでしょうね。
スポーツ新聞でプロ野球外国人選手のインタビューの日本語訳を見ても、日本人選手はインタビューに敬語で答えているように書いてあるのに、外人選手の話は「~さ」「~だね」「~してごらん」とか、まるで友だちに話すみたいに書いています。これを見て、きっと外国人選手は記者に対して友だちのつもりで答えてはいないだろうなといつも思うんです。
briccoさん
なだぎ&友近のビバヒルものまね、知ってます!
あれは面白かったですね、二人ともうまかった。
特に友近さんは特徴をつかむのがうまい。
そしてこの人も、日本人にしては珍しい喉発声です。
欧米人=カジュアル、フレンドリーという固定概念はいつからでしょうね。
なんとなくですが、70年代以降くらいじゃないか、という気がします。
昔の映画(モノクロのもの)の吹き替えとか、そうじゃなかったような・・・