“楽しく学習”はあり得ない－学習者へのアドバイス後編

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★語学習得は試練の道なのか？

♪おっもっい～こんだぁら～しれん～の～み～ち～を～♪　という古いアニメソングがありましたが、
若い人はご両親にでも、聞いてみてください。
はたして、英語学習は試練の道なのでしょうか。
イエスかノーかと問われると、まあ、イエスでしょうね。
何ごとも、楽しく身につけるなんてことは、到底無理なお話なのだと、前回の記事で書きました。

記事はこちら⇒“楽しく学習”はありえない－ちょっと言いにくいことを言ってみる

「聞き流すだけでＯＫ」とか、「暗記しなくても大丈夫」とかいった、甘い誘惑に負けてしまう人は、
心を奮い立たせて、その誘惑から断ち切らなくてはいけません。
でないと永遠に、上達することなく、いわゆるfalse beginner（偽ビギナー）のままですよ。

★自分に足りないものが何か、冷静に見直す

当たり前のことのようで、意外とみなさんやっていないのがこれです。
自分の苦手な分野は何なのか、足りないものは何なのか、きちんと分析すること。
語学は、四技能そろってはじめて、ある程度習得したと言えます。
四技能とは、聞く、読む、話す、書く、の四つの技能のこと。
そのうち受動的な技能として、聞く、読む、というのがあります。
ある程度すらすら読める人は、聞くこともそれなりにできるはずなんです。
たとえば、ペーパーバックを難なく読める人が、英語を全く聞けないということは、まずありません。
また、ペラペラしゃべれる人が、文章をまともにかけない、ということもないでしょう。
これらは連動しているからです。

たとえば、論文や自分のビジネスに関連したレポートなどは、さして苦も無く読めるのに、
普通の会話が苦手、という人がいます。
ニュース英語などは、７割くらいは理解できる。
ＴＯＥＩＣのリスニングも、８割くらいできる。
けれどもドラマや映画となると、手も足も出ない、ネイティブの雑談に混じれない。
これは、英語中級者に非常に多い傾向です。
なぜでしょう？

答えは明瞭。
会話に頻出のフレーズを、知らないことが原因です。
当たり前ですが、私たちは論文やレポートみたいな話し方を、普段しませんね？
ＮＨＫのニュースキャスターみたいな日本語を、友人同士や家族で話す人、周りにいますか？
いないですよね？
英語も同じです。
普通の言葉を知らないから、普通の会話が聞けないのです。
なので、そこを補強しない限り、いくら論文やレポートを読み込んでも、リスニングは向上しません。

聞けるけど話せない、という人は、話す訓練が欠けているのです。
聞く技能と話す技能は、連動しているようでしていません。
なぜなら、話すという技能には、筋肉や声帯を使うからです。
これらは実際に使ってみて、訓練しない限り、思うように動くようにはなりません。
絶対音感のある人が、歌が上手いかというと、別問題なのと同じです。
日本人学習者に圧倒的に欠けているのが、アウトプット（話す）訓練です。
ある程度のレベルに達した人は、このアウトプット訓練を増やさないと、話せるようにはなりません。

★歌は究極のアウトプット練習

日本語と英語は、ある意味“正反対”の言語と、言っていいと思います。
英語はシラブル（音節）で、構成されています。
シラブルとは、子音～母音～子音のセットのことを指します。
たとえば、ＨＯＴという単語。
これは、Ｈ（子音）～Ｏ（母音）～Ｔ（子音）で、１シラブル。
１シラブルに、１つの音符が乗ります。

それに対し、日本語は、母音がベースの言語です。
ＷＡ　ＴＡ　ＳＨＩ　ＮＯ　ＮＡ　ＭＡ　Ｅ　ＷＡ　ＹＵ　ＭＩ　ＤＥ　ＳＵ　（私の名前はゆみです）
というように、全て母音で一区切り。
一つの文字に、１つの音符が乗るのが、日本語なのです。

英語と日本語は、そもそもリズムが全然違う。
このリズムを無視すると、たとえ個々の音をきちんと把握していても、全体が聞き取れません。
１音符１シラブルの感覚をつかむのに、最適なのは歌を用いて練習することです。
メロディーがあると、自然と頭の中にリズムが入ってきて、体で覚えることができるからです。
歌を歌うなんて・・・と思うことなかれ。
これは本当に、効果があります。
これまでやったことがない、という人はぜひ一度、騙されたと思ってやってみてください。