最近の中学英語の教科書は、かなり良くなったと私は思っています。
中学や高校の英語の教科書を執筆している友人が何人かいますが、
彼らの英語レベルの高さを見ても、その改善ぶりが推し量れるというものです。
ただ、中学英語の教科書の改善ぶりと比べると、高校英語のほうはまだまだかな、という気がします。
高校英語は、どうしてもその先にある大学受験を目指した内容にならざるを得ないんですね。
だから、実践という意味において無駄があったり、遠回りになったりしてしまう。
ここを変えない限り、日本の英語教育はどうにもならないと思います。
まあ、そんなことはさておき、何が言いたいかというと、
今の中学英語の教科書とは違い、私が中学生の時は、本当に酷い内容だったのです。
大体、1ページ目に来るのは、“Hello, Kate”ではなく、“This is a pen.”ですから。
昔、ドリフターズのメンバーだった荒井注がギャグにしていましたが、
冗談ではなく、英語というと、
“This is a pen.”
“I am a boy.”
“How are you? – I’m fine, thank you. And you?”
の世界だったのです。
今思うと恐ろしいですね。
で、あの頃は、ALT(ネイティブの講師)なんていませんでしたから、
公立の中高に行った人は、ネイティブスピーカーと話す機会などなかったわけです。
生の英語、本物の英語に触れることなどないまま英語から遠ざかった人もいるでしょう。
私が、初めて海外(アメリカ)に行ってまず戸惑ったのは、
You guys
という表現でした。
guyは男性という意味です。
私は女性なのに、なぜguyなのでしょう。
あまつさえ、一人しかいないのにどうして複数形になっているのでしょう。
もう、頭の中が混乱してしまいました。
また、挨拶で誰も“How are you?”と言わないことにも驚きました。
What’s up?”とか、“What have you been up to?”などと聞かれても、
どうこたえていいのやらわからず、薄ら笑いを浮かべてごまかしたこともあります。
ちなみに、戸惑った時に笑ってごまかす、日本人特有のアルカイックスマイルは、
欧米人を恐怖のどん底に突き落とす、ということを覚えておいたほうがいいと思います。
何を考えているのかわからない微笑、これが怖いのだそうです。
知人のMさんは、世界中でコンサートツアーを行っているかなり有名なミュージシャンです。
彼が初めて海外のミュージシャンとセッションしたときのお話は、
大変面白く、同時に、これは自分にも起こりえたことだなぁと思わせてくれました。
Mさんは、私より一回りくらい上のかたです。
当然、習った英語の挨拶といえば、“How are you?”なわけです。
そのMさんに、有名ジャズミュージシャンが、“Hey, what’s up man?”と声をかけたそうです。
もちろん、これは「やあ、調子はどうだい」という挨拶なのですが、
How are you世代のMさんには、何のことだかさっぱりわけがわかりません。
最後の“man”だけが聞き取れたMさん、思わず、
Yes, I am a man.
とこたえてしまったそうです。
完全なるコミュニケーションブレイクダウンですね(笑)
今のMさんはかなり英語が堪能で、発音も素晴らしいのですが、
そこに至るまでには多くの苦労を重ねてきたことでしょう。
あの時代は、今より英語を話せる人が少なかったでしょうし、
海外ツアーの際、一々通訳を入れているとセッションもしづらいでしょうから、
ご本人がかなり努力されたのだと思います。
挨拶ひとつ取っても、色んな表現があるのが言葉というもの。
言葉って本当に面白いですね。
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