久しぶりに邦画を見ました。
友人が試写会に誘ってくれたので、見に行ってきました。

『十三人の刺客』

Life is beautiful

知人が広告関係でこの映画に関わっていることもあり、ちょっと見たいなと思っていたのです。
というか、ここ数年、邦画や邦楽は知り合いが関わっているものしか見ない(聴かない)。
舞台は好きで見るんですけどね。落語とか。
というわけで、ここから先はその感想です。
とりとめもない内容ですが、未見の人、ネタばれが嫌な人はスルーしてください。

これ、当然のことながらリメイクなんですが、オリジナルがあまりに古すぎて、
さすがの私も生まれていない時代なので見ていません。
このあたりの古い時代劇って、もうほとんど見てないんですね。
イメージからして暗いし、モノクロ映像だし、斬ったはったでえげつなそう・・・
という感じで、敬遠していたというのもありますが。

まず、簡単にストーリーをかいつまんで説明すると、
世は江戸の末期、明治まであと20年ほどという頃。
もはや侍が実際に剣を抜いて斬り合うことなどない、太平の世。
そんな時代に、将軍の実弟でキ○ガイのお殿さまがいたんですね。
バカ殿といっても、志村けんのキャラみたいな無害な殿さまならいいんですが、
この殿は凄まじくド変態なうえ、残虐極まりないのです。
まるでローマ皇帝カリギュラのように、日々酒池肉林を繰り返す殿さまに、
世のため民衆のために死んでもらいましょう、ということで、
老中が暗殺計画を立てるのです。
そこで選ばれた暗殺者(刺客)軍団が、たった13人で100人以上いる敵を討つ、
というなかなかダイナミックな物語。

で、感想ですが・・・

ひとことで言うと長すぎ。
余計なシーンが随所にあって、また最後の斬り合いのシーンが1時間近くもある。
そのせいで、映画の長さが2時間20分という長時間になってしまった。
正直、ここまで長くする必要があったのかと思ってしまいました。
邦画にしては珍しく、キャスティングは悪くない。
特に、主役の役所広司を食う勢いの敵役のヘッド、市村正親の存在感は素晴らしい。
また、古田新太や六角精児という芸達者をアクセントに入れたのもよい。
役所広司演じる、島田新左衛門の甥役の山田孝之もいい。彼は若手有望株だと思う私です。
宮崎あおいの旦那(高岡なんちゃら)が出ていたけれど、
残念ながらどれがどれやら区別が付かなかった(すんません)。
松方弘樹をキャスティングしたのは、時代劇の雰囲気を出すためでしょうかか。
この人、どうしても台詞まわしが遠山の金さんになっちゃうので、
それだけはどうにかならないものかと思ったけれど、最後の殺陣のシーンは流石。
刀さばきが断トツで巧かったです。
バカ殿に稲垣吾郎を配したのも、悪くなかったと思います。
ただ、最後の最後で「死にたくない」を醜態を見せるところや、
どうしようもない狂いっぷりは、彼自身が持つ雰囲気や、
時々見せる生来の目つきのうつろさだけでは補いきれない、
やはり本当の演技力が必要だったかなと思います。
これがあれば、ベネチアの作品賞も狙えたんじゃないかと。
それと、最後の数分間のシーンは蛇足だと思いました。
あそこは、刺客たちが武士の本懐を遂げて、颯爽と余韻を残したまま終わったほうがよいのでは?
なにゆえ、野人が実は生きていましたと現れて、滑稽なやりとりをするのか。
緊張と緩和を狙ったのかもしれないけれど、あれでは興ざめ。
また、おえんのシーンもいらない。
全体的に悪くなかっただけに、最後の最後でとても残念な気分になりました。
不必要なシーンをそぎ落として100分くらいにまとめたほうが、
映画としてのクオリティーは高かったと思うけれど、
それだとリメイク版の意味がないからでしょうかねぇ・・・
あ、殺戮のシーンは結構グロいのと、バカ殿のご乱行もえげつないので、
映画を見る前はあまり食事をしていかないほうがいいかも(気分悪くなる可能性大)。
というわけで、極めて個人的な感想でした。

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