先日、ローマ字の弊害について書きました。
日本人が英語、特に発音やリスニングに苦労するのは、
小学校の時にローマ字を習うことがいちばん大きな原因となっているのではないか。
その際、ラリルレロを「RA RI RU RE RO」と頭の中にインプットされてしまう。
この染みついた感覚が、英語学習を妨げる一因となっているのではないか、ということです。
もうひとつ。
日本語は、母音を軸にした言語で、英語は子音を軸にした言語だと言われますが、
私は、日本語は演歌、英語はポップス(またはロック)のリズムだと
常々感じています。
英語の音は、シラブルで構成されています。
シラブルとは、1つの母音を含む音を指します。
たとえば、Englishだと、母音は“E”と“i”のふたつですね。
なので、2シラブルということになります。
Eng – lish
● ●
黒丸は、リズムです。
ゆっくり発音する場合、Englishという単語は、ポンッ、ポンッと2拍子になるんですね。
ところが、これが必ずしもそういうわけではなく、
早く(というか、ナチュラルスピードで)言うと、
Eng – lish
● ・
となり、“lish”の部分は前半の“Eng”に吸収されたような感じになります。
なので、リズムとしては1拍になるんですね。
この、“● ・”という強弱のリズムが、英語という言語の持つリズムです。
強弱、強弱、“● ・ ● ・”というように前半にストレスが来る場合と、
弱強、弱強、“・ ● ・ ●”という風に後半にストレスが来る場合があり、
これがいわゆるポップスのリズムなんですね。
ズンチャ、ズンチャ、ズンチャ、ズンチャ、
ンパ、ンパ、ンパ、ンパ、
というポップスやロックのビートは、英語というシラブル言語に巧く乗るわけです。
ところが、日本語となるとそうはいかなくなります。
日本語は、英語のようなシラブルがありません。
日本語は、「あ、い、う、え、お、か、き、く、け、こ」というように、
1文字1文字が1拍なんです。
例えば、「ありがとう」という単語は、
A – RI- GA- TO- U
というように、リズムで言うと、「● ● ● ● ●」となり、
強弱がありません。
これは、音楽で言うと、演歌なんですね。
演歌のリズムは極めて平坦でべっちゃりしています。
ズンチャ、ズンチャ、とか、ンパ、ンパ、というポップスのリズムとは違い、
演歌は、ダーダーダーダーダーダーという感じ。
わかりやすい例を見てみましょう。
都はるみの大ヒット曲、『北の宿から』を聞いてみてください。
始まりの部分、
「あなた変わりはないですか 日ごと寒さがつのります」
というところですが、一つの音符に一つの文字が乗っていますね。
リズムに強弱はなく、全部が同じように発音されます。
すなわち、
あ な た か わ り は な い で す か
● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
となるわけです。
では、コニ―・フランシスの『Pretty Little Baby』を聞いてみましょう。
出だしの部分、Pretty little baby ~のリズムに注意してください。
Pre tty li ttle ba by
● ・ ● ・ ● ●
ズンチャ ズンチャ ズン ズン
となっていますね。
この、強弱のリズムがポップス特有のものなんですね。
日本人が、このポップスのリズムに慣れるのにはずい分かかったと言われています。
というのも、そもそも日本語はポップスのリズムに乗る言語ではないからです。
無理に乗せるしかないんですね。
では、この『Pretty Little Baby』のカバーを聞いてみましょう。
中尾ミエが日本語でカバーしています。
当時の苦労がしのばれます(笑)
歌唱力は本家のコニー・フランシスよりも中尾さんのほうが数段上ですね。
Pretty little baby ~のところが、
かわいいベイビー、となっています。
注目してほしいのは、中尾さんの発音です。
か わ い い べ い び い
● ● ● ● ● ● ● ●
というふうに、1文字1文字を意識的に同じような強さで歌っていますね。
当時の日本人はまだポップスのリズムに慣れていなかったので、
あえてベチャッと歌うように指導された、と以前インタビューで言っていました。
今ならもっと軽やかに歌うところでしょう。
日本語は、基本が演歌のリズムなんですね。
だから、ポップスを歌うには、それなりのリズム感が必要で、
ポップスのリズムに合わせなくてはいけないのです。
それは、話しているときも同じです。
英語を日本語のようにベタッと発音していると、英語らしく聞こえません。
また、そうやっているうちは、英語のリズムについていけないので、
リスニングも伸びません。
シラブルを意識すると、英語の音がはっきりしてくるでしょう。
一度、お試しあれ。
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英語はポップス、日本語は演歌
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今までも面白い記事をたくさん読ませていただきましたが、この日記は最高に面白くてためになって、英語学習意欲をかき立てますね~!
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自分はUKロック調でいきます。(笑)
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>上町クミーさん
そう言ってもらえると書いている甲斐があるというものです。
ありがと~~~。
またふらっと立ち寄ってくださいましぃ~♪(゚▽^*)ノ⌒☆
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>スティングさん
UKロック調ですか!いいですねぇ~ヾ(@^▽^@)ノ