多くの日本人が、リスニングに悩んでいます。
私のところにも、とにかくリスニングが苦手だ、と相談に来られる方が後を絶ちません。
プレゼンはまだいい、言う内容を準備して覚えて行けばいいから。
でも質問されたら聞き取れないから答えられない。
そんな悩みを抱えるあなたに、リスニングを伸ばすための方法について、お話したいと思います。
これさえ押さえておけば、リスニング力がぐんぐん伸びますよ。
<目次>
1.聞く時間を増やすだけではリスニングは伸びない
1-1 日本人には聞けない音がある
1-2 ディクテーションには限界がある
2.“ちゃんと聞く”訓練をすること
2-1 音そのものを聞くトレーニングをする
2-2 1日数分でも効果があがるやり方
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1.聞く時間を増やすだけではリスニングは伸びない
あなたは日頃リスニングを伸ばすために、どんな学習のしかたをしていますか?
テキストを使っていますか?
それとも、ただ英語を聞き流しているだけですか?
聞き流すだけの学習法が、一部の上級者以外にはほとんど効果がないことは、既にあちこちで言われていることなので、ここで繰り返す必要はないでしょう。
このサイトをごらんのあなたも、そのことはもう薄々気が付いているはずです。
では、ちゃんとテキストを使って集中して聞いている、スクリプトを見てわからないところをチェックし、聞けなかったところもチェックしている。
これを地道に続けているのに、今ひとつリスニングが伸びない、というあなた。
残念ながら、それだけでは伸びないのです。
1-1 日本人には聞けない音がある
英語は日本語と比べて、遥かに音の種類の多い言葉です。
私たちの耳には、言葉として認識できない音が、いくつかあると言われています。
その代表的なものが、子音のRと、あいまい母音(シュワ)です。
たとえば、お腹を意味するstomachという単語。
これ、ストマックだと思っていませんか?
発音記号は[stʌ́mək]で、実際の音はスタミックに近い。
この、mək の部分の母音が、いわゆるあいまい母音[ə]です。
スペルがaなので、アだと思ってはいけません。
あいまい母音は、アでもイでもウでもエでもオでもない、日本語のどの母音にも当てはまらない微妙な音です。
こういった音は、私たち日本人学習者をどこまでも悩ませます。
音を正しく認識していないと、聞き取ることができません。
1-2ディクテーションには限界がある
中級レベルくらいから上の学習者が、好んで取り入れている学習法に、ディクテーションがあります。
音声を聞きながら、スクリプトの穴埋めをしていく。
空欄の部分を、集中して聞くというトレーニングです。
これは、ある程度は効果があります。
特に初級レベルの学習者には、知らない単語やチャンクを覚えるいい訓練になります。
けれども中上級くらいになると、ひたすらディクテーションを続けているだけでは、あまり意味がありません。
聞いて、わからないところを確認して、「ああそうだったのか」と納得する。
その後、声に出して何度か読んでみる。
この繰り返しを続けていても、本当の意味で音を聞けるようにはなりません。
ちゃんと音を聞く、という訓練をしない限り、聞けない音が聞けるようにはならないのです。
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2.“ちゃんと聞く”訓練をすること
ちゃんと聞く、しっかり聞く、ということを意識していますか?
そのためには何をすればいいのでしょう。
こちらの動画で、わかりやすく解説しました。
2-1 音そのものを聞くトレーニングをする
上記の動画でも述べましたが、音そのものをちゃんと聞く訓練をしない限り、聞けない音は聞けるようにはなりません。
そのためには、自分が正しく発音できる必要があります。
stomachをストマックと発音していると、実際のネイティブの言葉が聞き取れません。
また、英語の音は全て繋がっていきます(リエゾンと言います)。
音が繋がることで、違う音に変化するのです。
We are はウィーアーではありません。
ネイティブが普通に話す時、We’reと短縮形になり、音も短縮(リダクション)されます。
そのため、ワ、としか聞こえてきません。
こういったリエゾンやリダクションは、法則性があります。
それを知らないまま、闇雲にたくさん聞いて、ディクテーションを繰り返しているだけでは、ネイティブの普通の会話を聞き取れるようにはならないのです。
TOEICなどの試験英語なら問題なく理解できるのに、ネイティブの会話となると、ごく簡単な話でも付いていけないというのは、まさにこれが原因です。
音そのものを聞く訓練をしないで、ただただリスニングの時間を増やして一生懸命ディクテーションしても、意味がないのです。
2-2 1日数分でも効果があがるやり方
自分が言えるフレーズは、必ず聞き取れます。
逆に言うと、聞き取れない単語やフレーズは、間違った読み方をしているということです。
あいまい母音を全て、日本語の母音(アイウエオ)のどれかで発音していませんか?
Rを巻き舌で発音していませんか?
Lはラリルレロだと思っていませんか?
THは舌を噛む、と思っていませんか?
こういった間違った知識が、多くの日本人学習者の足を引っ張っています。
間違ったまま、いくらリスニング対策をしても、それは間違ったダイエット法を続けるのと同じで、効果はありません。
まずは、正しい発音のルールを理解し、覚えましょう。
ネイティブと同じ速さ、抑揚で言えるまで、毎日声に出して練習します。
5分でもかまいません。
1分あれば、短いフレーズであれば20回以上言うことができます。
それを録音し、ネイティブの音声と聞き比べます。
俳優がセリフを覚え、それを自分の者にして感情を込めて演じる、というのをイメージしましょう。
棒読みではダメです。
必ず、気持ちを込めること。
リスニングの素材は、なるだけオーセンティックなものを選びましょう。
試験英語は、いわゆるネイティブが普通に話している時のものとは違い、ゆっくりはっきり発音されています。
例えて言うなら、NHKのアナウンサーが話す日本語のようなものです。
普段の会話であんな風に話す日本人は、いませんね?
英語も同じです。
本来のスピード、抑揚に慣れるためにも、修正されていないリスニング素材を使うことが重要です。
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英語は音のバリエーションがとても豊かな言葉です。
個々の子音や母音もそうですが、それらが組み合わさることでまた、違った音に変化します。
これが、音の種類が少ない日本語ネイティブである私たちには、大きな壁となって立ちはだかっているのです。
日本人はまず、正しく音を認識する必要があります。
系統だてて音を理解し、慣れていくことで英語はスッと耳に入ってくるようになります。
そして、正しい発声と口を動かす訓練を続けることで、ネイティブのような発音・流暢さを身に付けることができます。
まずは、正しい音のルールを、理解するところから始めましょう。
わたしたちは学校で、まともに英語の発音を習うことがありません。
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著者プロフィール:明場由美子(Yumi)
大阪大学文学部卒、オクラホマシティー大学社会学専攻
フリーランス通訳、大手英会話講師、企業トレーナー、外資系出版社セールスマーケティングを経て2010年に独立、English Boot Campを立ち上げる。
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