英語を話す上で重要な要素の一つに、リズムとイントネーションがあります。
どれほど個々の音を正しく発音していても、リズムやイントネーションが違うと、英語らしく聞こえません。
あなたがもし、ネイティブに頻繁に聞き返されるとしたら、それはリズムやイントネーションに原因があるかもしれません。
リズムとイントネーションには、“ストレス”が大きく関係しています。
ストレスを正しく理解することで、ナチュラルな英語を話せるようになります。
<目次>
1.ストレスは強弱ではない-ネイティブに近付く3つの法則
1-1 ストレスのある音節は長く、高く発音する
1-2 シュワ(あいまい母音)は短く、低く
1-3 リエゾン(音の連結)を意識する
2.機能語と内容語
2-1 機能語と内容語ってなに?
2-2 内容語にストレスを乗せる
2-3 機能語はリダクションが起きやすい
3.洋楽のススメ-歌うように話す
3-1 メロディーを口ずさむようにフレーズを言う
3-2 洋楽でリズムとイントネーションを矯正
3-3 おススメ洋楽3選
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1.ストレスは強弱ではない-ネイティブに近付く3つの法則
ストレス、またはアクセントという言い方もしますが、これほど私たち日本人を悩ませるものはありません。
英語のストレスは、強弱ではないのです。
ここを取り違えると、不自然な話し方になってしまいます。
では、自然な英語を話すにはどうすればいいのでしょう?
次の3つのポイントを押さえるだけで、グンとネイティブっぽさが増しますよ。
1-1 ストレスのある音節は長く、高く発音する
ストレスは強弱ではありません。
そうではなく、ストレスがある音節は、長めに、また高めに言います。
たとえば、importantという単語は、第2音節にストレスがあります。
多くの日本人はこれを、「インポータンッ」と、ポの部分を強めに発音しています。
実際は、インポ〰タンッというように、ポを長く、また途中で音程を上げて発音します。
日本人の important
日本語は英語と違い、平坦な言葉です。
特に共通語(標準語とも言います)は、あまり抑揚がありません。
そのため、音を上げたり下げたりする、つまりイントネーションを付けることが、私たちは苦手なのです。
上の図は、日本語と英語の違いをわかりやすく表したものです。
ずいぶん違いがありますね?
ストレスのある個所は、少し音程を上げましょう。
importantは、ポ~~~と長めに言いながら、音程を上げていきます。
そしてタンのところで下がります。
強弱をつけないようにしましょう。
ネイティブの important
1-2 シュワ(あいまい母音)は短く、低く
importantのポが長く、そして音程が高くなるのはわかりましたね?
では、他の母音はどうでしょう。
第1音節のimと、第3音節のtantは、ストレスが乗りません。
ストレスが乗らない時、多くの場合、母音があいまい化します。
このあいまい母音(シュワとも言います)は、アでもイでもウでもエでもオでもない、微妙な音です。
発音記号は[ə]で、この記号は見たことがある人も、多いのではないでしょうか。
英語にはあいまい母音が多く、私たち日本人を悩ませます。
importantのimをイン、tantをタントとはっきり発音すると、正しい響きになりません。
ストレスの乗らない箇所は、少し低めに、また音は短めに言うのがコツです。
イメージとしては、
インポ~~~タンッ
です。
少し大げさに言うくらいでちょうどいいので、音の長短と高低を意識するようにしましょう。
1-3 リエゾン(音の連結)を意識する
もう一つ重要なのが、音の繋がりです。
これはリエゾンと呼ばれますが、英語は基本的に音が繋がる言葉です。
たとえば、get up はゲットアップではなく、ゲラップとなりますね?
Thank you.はサンク・ユーではなく、サンキュー。
常に、音を繋げていくイメージが、英語を話す時には必要なのです。
ではたとえば、Thank you.というフレーズの場合、どこにストレスをおけばいいのでしょうか。
繰り返すようですが、日本語は抑揚があまりない言葉です。
ついつい、すべてを同じリズム、音程で平坦に話してしまうのが、私たち日本人です。
英語には、品詞によってストレスが乗るものと、乗らないものがあります。
次の項目で、具体的に述べているので最後まで読んでくださいね。
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2.機能語と内容語
Thank you.というフレーズ。
これをthankとyouどちらも同じように言ってしまうと、「タン・タン」という平坦なリズムになります。
私たちにとっては心地良いこのリズム、実は英語を話す上では大きな足かせになっています。
英語は「タンタン」とか「タンタンタン」といった、均等で平坦なリズムはほとんどないからです。
Thank you.は「セェ~ンキュ」というように、thankにストレスが乗るため音が長く、高くなります。
リズムは「タ~ン・タ」となります。
このリズム感を体得することが、英語を話す上で重要なカギとなります。
2-1 機能語と内容語ってなに?
Thank you.は、thankにストレスが乗り、youには乗りません。
これは、ルールとしてある程度決まっています。
thankは動詞で、動詞は文章の内容を表す重要な品詞です。
内容を表す品詞を内容語と呼びます。
youは人称代名詞で、こちらは機能を表す機能語です。
機能語にはストレスが乗りません。
機能語と内容語に関しては、わかりやすく動画で解説しているので、参考にしてください。
機能語には、次の7つの品詞があります。
1.人称代名詞(主格、目的格及び所有格)
2.助動詞
3.前置詞
4.冠詞
5.接続詞
6.関係代名詞
7.Be動詞
内容語には、次の8つがあります。
1.名詞
2.動詞(一般動詞)
3.形容詞
4.副詞
5.指示代名詞
6.所有代名詞
7.疑問詞
8.再帰代名詞
Stop it.というフレーズは、動詞のstopにストレスが乗り、人称代名詞itには乗りません。
したがって、スタ~~~ピッという感じになります。
2-2 内容語にストレスを乗せる
動詞や形容詞といった内容語にストレスを乗せる、というのが英語の基本ルールです。
これを知らないと、全てに均等にストレスが乗ってしまって、英語のナチュラルなリズムが崩れます。
日本語のリズムが演歌だとすると、英語はロックです。
ロックのリズムを作り出しているのは、このストレスの絶妙な感覚です。
機能語と内容語の組み合わせから生み出されるリズムが、英語本来の軽やかな響きとなっているのです。
It’s so nice of you.
というフレーズは、so(副詞)とnice(形容詞)にストレスが乗ります。
したがって、
イッツソ~ナ~イサブュ
となります。
2-3 機能語にはリダクションが起きやすい
機能語にはストレスが乗りません。
そのため、リダクション(音の脱落、弱化)が頻繁に起ります。
先ほどの、
It’s so nice of you.
というフレーズを例に取って、見てみましょう。
ofは前置詞で、これは本来の発音は [ʌ́v](オーヴ)です。
けれども文章になると、リダクションが起り、アヴ[əv]となります。
nice of は、niceの最後の子音Sと続く母音O が繋がるため、ナイスオブではなく、ナ~イサブとなります。
また、この場合niceにストレスがあるため、ナ~で音が上り、イに向かって下がって行きます。
英語ネイティブは、こういったイントネーション(抑揚)を、自然にやっています。
私たちも日本語を話す時、ある程度は抑揚を意識していますが、英語と比べると遥かに平坦です。
機能語は低めに、内容語で音程を上げるということを、常に意識するようにしましょう。
少し大げさなくらいで、ちょうどいいと思ってください。
いやいや、やりすぎなんじゃ・・・と思うくらいに、抑揚をつけることが英語らしく話すコツですよ。
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3.洋楽のススメ-歌うように話す
さて、英語はストレス言語であることが、理解できたのではないでしょうか。
日本語と違い、英語は抑揚が激しく、またリズムもバラエティーに富んでいます。
英語のリズムや抑揚に慣れるには、歌(洋楽)を取り入れるのが一番です。
3-1 メロディーを口ずさむようにフレーズを言う
英文を声に出す時、喉を開いてお腹から発声しましょう。
口先でもごもご、ぶつぶつと言わないこと。
英語は腹式発声で話す言語です。
日本語とは、そもそも発声が違うのです。
私たちが腹式で発声する時は、歌を歌う時くらいのものです。
なので、英語を話す時は、歌を歌うイメージで声を出すと、うまくいきやすいのです。
importantは、♪インポ~~~タンッ
Stop it.は、♪スタ~~~ピッ
It’s so nice of you.は、♪イッツソ~ナ~イサブュ
音を切らずに、歌うように一息で言ってみましょう。
ふだん日本語を話す時の、3倍くらいの声の張りと、抑揚を意識してください。
3-2 洋楽でリズムとイントネーションを矯正
文字で書かれた文章を読み上げるだけでは、なかなかピンときにくいかもしれませんね。
そういう時に役に立つのが、音楽です。
言葉はメロディーに乗せることで、リズムや抑揚がスッと体に馴染みます。
私がこれまでに出会った、英語が堪能な日本人全員に共通する特徴が、ひとつあります。
それは、みんな若い頃に洋楽を聞いていた、ということです。
聞いていたというのは、言葉が足りないですね。
ただ聞いていただけではなく、実際に自分も歌っていた、と言った方がいいでしょう。
カラオケで洋楽を歌ったり、海外アーティストのコンサートに出向いては、ライブ中一緒に歌ったり。
とにかく、英語の歌を歌いまくっていた、というのが共通項です。
英語特有のリズムやイントネーションを身に着けるには、歌が最も効果的です。
実際に歌ってみて、うまく歌えない、リズムに合わせられない、字余りになる、という場合、そのフレーズを正しく言えていない証拠です。
でもちょっと歌は苦手で・・・なんて言わないでくださいね。
何度も練習することで、だんだんと歌えるようになっていきます。
発音矯正になるだけでなく、リスニングも飛躍的に伸びます。
ぜひ、洋楽カラオケに挑戦してみましょう。
3-3 おススメ洋楽3選
では具体的に、どんな歌を選べばいいのでしょうか。
初級~中級向けの曲を、3つご紹介したいと思います。
おススメ曲その1- Hard Day’s Night by The Beatles
ビートルズの曲はどれも、英語学習にもってこいの素材です。
初級レベルの人は、ゆっくりした曲から入るといいでしょう。
この歌は、中学英文法で理解できる内容の歌詞で、リズムも抑揚も一緒に覚えられるお得な1曲です。
おススメ曲その2- Top of the World by Carpenters
カーペンターズのこの曲も定番ですね。
やはり、シンプルな歌詞と聞きやすい英語が、初中級者にピッタリな理由でしょう。
聞いているとそうでもないですが、実際に歌うとなかなか速く感じると思います。
何度も練習して、ぜひカラオケで歌ってみてください。
おススメ曲その3- Honesty by Billy Joel
ビリー・ジョエルのバラードです。
若い人でも、メロディーを聞いたら、なんとなく知っているのではないでしょうか。
平易な歌詞と、キャッチーなメロディー。
これが英語学習の素材としての、洋楽選びのポイントです。
練習方法としては、まず歌詞を見ながら歌を聞きます。
そして次に歌詞の内容を理解します。
知らない単語や、意味のわからないフレーズなどは、きちんと調べるようにしましょう。
そのうえで今度は、声を出して練習してみます。
音楽に合わせて、歌い手の声にかぶさるようにして、お腹から声を出します。
最初はうまく歌えなくても当然なので、気にせずに何度も何度も練習してください。
最終的にはそらで歌えるくらいまで、練習することが大事ですよ。
お気に入りのアーティストがいれば、その人の曲でもかまいません。
とにかく、口から自然にメロディーと英語が出てくるくらいまで、歌い込みましょう。
ビジネスマンから絶大なる支持を受ける英語発音教材
Yumiの脱カタカナ英語マニュアル
◆述べ3,500人に指導してきた発音矯正のプロによる、日本人のための英語発音矯正本
もう何年も英語を勉強してきているのに、話せるようにならない・・・
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そこそこ読めるのに話せない・・・
TOEICならまあまあのスコアが出るのに、ちっとも話せない・・・
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といった悩みを、あなたも抱えていませんか?
私は英語を教え始めて25年以上になりますが、こういった悩みは昔から変わることなく頻繁に耳にするものです。
日本人は中高で6年間、英語を勉強してきています。
その後大学や、個人的に英会話を習うなどすると、10年以上英語に取り組んできている人も少なくありません。
なのになぜ、いつまでも同じ悩みを抱え続けるのでしょうか。
それは、日本人が間違った学習のしかたをしているからです。
英語は、日本語よりはるかに音の種類の多い言葉です。
たとえば母音ひとつとってみても、日本語には「あいうえお」の5つしかありませんが、英語は20以上あります。
母音だけで英語は日本語の4倍以上あるのです。
わたしたちには似たように聞こえる音でも、ネイティブにとっては「い」と「お」ほどの差があるのです。
色に例えて言うなら、単純に「青」に見える色も、ネイティブにとっては微妙に少しずつ違う。
スカイブルーもあればネイビーブルーもある、ターコイズもある、というようにそれぞれ違う色として認識されるのです。
日本人はまず、正しく音を認識する必要があります。
系統だてて音を理解し、慣れていくことで英語はスッと耳に入ってくるようになります。
そして、正しい発声と口を動かす訓練を続けることで、ネイティブのような発音・流暢さを身に付けることができます。
まずは、正しい音のルールを、理解するところから始めましょう。
わたしたちは学校で、まともに英語の発音を習うことがありません。
習ったとしても、「THは舌をかむ」だとか「Rは巻き舌にする」だとか、間違ったことを教わっている可能性が高いのです。
自分が言えるフレーズは必ず聞き取れます。
音を聞き取れたからと言って、必ずしもそれと同じように言えるとは限りません。
けれども真似して言える音は、必ず聞き取れます。
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自分が正しく言える、ネイティブのように言えるフレーズは、必ず聞き取れます。
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著者プロフィール:明場由美子(Yumi)
大阪大学文学部卒、オクラホマシティー大学社会学専攻
フリーランス通訳、大手英会話講師、企業トレーナー、外資系出版社セールスマーケティングを経て2010年に独立、English Boot Campを立ち上げる。
監修本:『ネイティブ発音が3D映像でわかる!英語の発音トレーニングBOOK DVD1枚CD3枚付き』(西東社)-Amazonランキング発音部門で第1位!
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時折、なるほどと思いながら貴youtubeをみています。
機能語という言葉は聞いていましたが、内容/機能語の定義と役割が良く分かりました。
熱意を持って分かりやすく英語を伝道されていて感心します。頑張ってください。 TKS
阪大吹田校舎で工学を教えていたので親近感を持ちメールしました。これからもよろしくお願いします。
野澤さん、コメントありがとうございます(^O^)
吹田キャンパスですか!
私は文系なので、ずっと待兼山でした。
なので、吹田キャンパスは行ったことないんですよ(^ ^;)
YouTubeもごらんいただいているのですね。
ありがとうございます♪
だいたい週1で動画をアップしていますので、ぜひご覧くださいね。
明場由美子先生
思いがけなく貴返信を見つけ、TKS再返信をと思いつつ、新年になってしまいました。
明けましておめでとうございます。貴女のご健康と”Yumi’s English Boot Campのご発展”を祈ります。
NHK講座テキストを中心に英会話を勉強しています。お蔭で、外国人友人や英語サークルグループも増えました。
遅々とした進歩は感じますが、分からないところは何回聞いても分からない・・のは何故か,方法は?を考えながらやっています。英語(外国語:言葉)を学ぶことの奥深さに興味を持っています。世界、人、異文化・・・感じるのに役立っています。If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?
明日5日は吹田キャンパスで古巣の船舶海洋工学部門の新年会に行きます。 (KN)